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菊地秀行の(短めの)短編集

 昨日の赤川次郎に続いて、「かなわんなあ」の第2弾――菊地秀行です。
 菊地秀行の短編、好きですねえ。長さから見て、純然たるショートショートはさほど多くはありませんが、原稿用紙20枚前後――短編とショートショートの境界にある作品は数多く、ショートショートの書き手としても見逃してはならない作家と考えています。
 そんなわけで、菊地秀行の(短めの)短編集リストを掲載します。目安としては、本のほとんどを20枚前後(あるいは、それ以下)の作品が占めている短編集です。

『13のラブ・ソング』角川書店(88)/角川文庫(91)
『とれんでぃー・らぶ』実業之日本社(90)/ジョイノベルス(92)/『ちょっとエッチなショートストーリー』講談社文庫(98)
『ラブ・クライム』講談社(91)/講談社ノベルス(93)/『あなたに捧げる犯罪―ラブ・クライム―』講談社文庫(95)
『懐かしいあなたへ』講談社(92)/講談社ノベルス(95)/講談社文庫(02)
13のラブ・ソング.JPG とれんでぃー・らぶ.JPG ラブ・クライム.JPG 懐かしいあなたへ.JPG
 以上ですが、きっちりとリストアップできているか、あまり自信がありません。ご指摘、歓迎します。
 なお、『13のラブ・ソング』に収録されている「香水」は、『ショートショートの世界』でも採り上げました(176ページ)。
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赤川次郎のショートショート集

 かなわんなあ。――赤川次郎に対する、私の率直な思いです。
 あんなに長編を書いていながら、こんなにショートショートを書かれちゃ、たまんないですね。作品は面白いし、何より、本人が楽しんで書いているのが伝わってくる……。ほんと、かなわんのであります。
 そんなわけで、赤川次郎のショートショート集リストです。

『二人だけの競奏曲』講談社(84)/講談社文庫(87)*横田順彌との共著。
ショートショート 踊る男』新潮社(86)/新潮文庫(89)
ショートショート 勝手にしゃべる女』新潮社(86)/新潮文庫(89)
二人だけの競奏曲.JPG 踊る男.JPG 勝手にしゃべる女.JPG
『散歩道 赤川次郎ショートショート王国』光文社(98)/光文社文庫(02)
『間奏曲 赤川次郎ショートショート王国』光文社(03)/光文社文庫(06)
『ショートショート・セレクション―猫の手』ポプラ社・赤川次郎セレクション(08)
散歩道.JPG 間奏曲.JPG 猫の手.JPG
 最後の『猫の手』は赤木かん子編のショートショート傑作集なんですが……。
 その「解説」に――
> で、いま現在“赤川次郎ショートショート集”として“踊る男”(新潮文庫)と“勝手に
>しゃべる女”(新潮文庫)と“散歩道”(光文社文庫)の三冊が出ているはずですが、
 なんて書かれていて、唖然呆然。このリストをご覧になればわかるように、『猫の手』刊行時に赤川次郎のショートショート集は、(横田順彌との共著である『二人だけの競奏曲』は別として)4冊出ていました。
 つまり編者は『間奏曲』を知らずに赤川次郎のショートショート傑作集を編んだのですね。すべての著作・作品を把握しろ、とは言いませんが、これはひどいと思います。
 ちなみに、『猫の手』には19編が収録されていて、その内訳は『踊る男』から6編、『勝手にしゃべる女』から7編、『散歩道』から4編、その他から2編。当然のことながら『間奏曲』からは1編も採録されていません。

 もう1冊、赤川次郎の英訳ショートショート集も紹介しておきましょう。
『Jiro Akagawa SHORT SHORT STORIES【赤川次郎 超短編集】』日栄社・キャンパス リーディング シリーズ(87)
赤川次郎超短編集.JPG ジェイナ・T・タナカ訳。「犬の落としたお年玉」「お年玉」「エレベーター健康法」「代筆」「健ちゃんの贈り物」「花束」「パーティ」「モーニング・コール」の全8編。「健ちゃんの贈り物」は『勝手にしゃべる女』に収録、それ以外は『踊る男』に収録されています。
 この本の「はしがき(武田勝彦)」には「アメリカの文学者ではJ・D・サリンジャーがショートショートの名人として知られている」と書かれています。
 え? そうなんですか?

【追記】2010年3月10日
 この記事を書いたあと、〈赤川次郎ショートショートシリーズ〉の刊行が始まり、先ごろ全3巻が完結しました。
『復讐専用ダイヤル 赤川次郎ショートショートシリーズ1』理論社(09)
『健ちゃんの贈り物 赤川次郎ショートショートシリーズ2』理論社(09)
『幻の恐竜 赤川次郎ショートショートシリーズ3』理論社(10)
指定席.jpg
【追記2】2010年8月11日
 新たなショートショート集『指定席 赤川次郎ショートショート王国』光文社(10)が出ました。奥付を見ると、4月25日の発行です。出版されていたことに全く気がつかず、ようやく入手した次第です。
 
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『クライム・マシン』

クライム・マシン.JPG ジャック・リッチー『クライム・マシン』河出文庫(09)を買いました。晶文社ミステリ(05)の文庫化ですが、作品異同があります。
 晶文社ミステリ版は所有していて、買う気はなかったのですが、「解説」にリッチーの「自分がこれまでに書いた最も短い物語」が紹介されているよ、と友人に教えてもらい、それなら買わねば、となった次第です。
「解説」の最後で披露されていて、数秒で読めます。書店にて、どうぞご確認ください。
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石川喬司のショートショート集

 8月26日の記事「最も短いホラー」でお世話になった石川喬司さんは、ショートショートのよき理解者であると同時に、優れた実作者でもあります。
 石川さんのショートショート集(+ショートショートを数多く含む短編集)リストを掲載します。

『魔法つかいの夏』ハヤカワSFシリーズ(68)/ハヤカワ文庫JA(75)*再編集版。
『アリスの不思議な旅』ハヤカワ文庫JA(74)
『エーゲ海の殺人』集英社(80)/旺文社文庫(86)
魔法つかいの夏.JPG 魔法つかいの夏(文庫).JPG アリスの不思議な旅.JPG エーゲ海の殺人.JPG
『彗星伝説』講談社(82)/講談社文庫(85)
『傑作競馬小説集』実業之日本社(84)/『ホース紳士奮戦す』徳間文庫(87)/『石川喬司競馬全集 第三巻』ミデアム出版社(93)*他作品との合集。
『絵のない絵葉書』毎日新聞社(86)/『絵のない絵はがき』集英社文庫(91)
彗星伝説.JPG 競馬小説傑作集.JPG 絵のない絵葉書.JPG 世界から言葉を引けば.JPG
 あと1冊、ショートショート集ではありませんが、これだけは!
『世界から言葉を引けば』河出書房新社(78)
 私が大好きな作品集です。これ、確か文庫化されていないんですよね。残念でたまりません。
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岸田今日子のショートショート集

 小説を書くのを本業としない人たちが数多く参入しているのもショートショートの特徴です。これがまた、本業の作家に負けないくらい面白いショートショートを書くんですね。
 その代表――岸田今日子のショートショート集リストを掲載します。

『子どもにしてあげたお話 してあげなかったお話』大和書房(75)/大和書房(94)/大和書房(01)*再刊されるたびに作品異同あり。
子供にしてあげたお話 してあげなかったお話.JPG 子供にしてあげたお話 してあげなかったお話(再).JPG 子供にしてあげたお話 してあげなかったお話(再々).JPG
『ひとみしりな入江』大和書房(78)/大和書房(85)*新装版。
 新装版は未所有です。
『一人乗り紙ひこうき』角川文庫(83)*『子どもにしてあげたお話 してあげなかったお話』と『ひとみしりな入江』を再編集。
『ラストシーン』角川書店(85)/角川文庫(89)*1編追加。
ひとみしりな入江.JPG 一人乗り紙ひこうき.JPG ラストシーン.JPG ラストシーン(文庫).JPG
『時の記憶』マガジンハウス(92)
『大人にしてあげた小さなお話』大和書房(00)*『ラストシーン』『時の記憶』『ひとみしりな入江』を再編集。
『二つの月の記憶』講談社(07)
時の記憶.JPG 大人にしてあげた小さなお話.JPG 二つの月の記憶.JPG

 岸田今日子のショートショート、好きですねえ。特に『ラストシーン』は必読と思います。

【追記】2010年2月4日
 この記事を書いた時点では未所有だった『ひとみしりな入江』の新装版(85)を入手しました。現物を手にするのは初めてでして、まさかこんなに小型化されているとは……と驚きました。初刊本(78)と新装版、2冊並べた画像を掲載しておきます。
 収録作品は同じです。
ひとみしりな入江(新旧).jpg
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伊藤潤二の映像化

 伊藤潤二原作のTVドラマ『長い夢』(2000年放送)を観ました。
 え~。
 1年くらい前から伊藤潤二のマンガにハマっています。ショートショートではないので綿密な作品調査は行なっていないのですが、この1年で、単行本化されている作品はほとんど読んだのではないかと思います。いやあ、本当に面白いですね。大好きです。
 マンガだけでは飽き足らず、今年の初めくらいから、映像化作品にも手を伸ばすようになりました。はっきり言って、どの作品も原作マンガにはとうてい及ばず、映画を観てはがっかりの繰り返しなんですけれど、“毒を食らわば皿まで”の心境(苦笑)。
 簡単にネット調査してみますと――

【劇場映画】
富江.JPG◎富江シリーズ
富江(1999)
富江 replay(2000)
富江 re-birth(2001)
富江 最終章 ―禁断の果実―(2002)
富江 BEGINNING(2005)
富江 REVENGE(2005)
富江VS富江(2007)
うずまき.JPG◎その他
押切 The strange story(2000)
うずまき(2000)
首吊り気球(2000)*悪魔の理論/屋根裏の長い髪/首吊り気球
死びとの恋わずらい(2001)
案山子 KAKASHI(2001)
うめく排水管(2004)

長い夢.JPG【TVドラマ】
戦慄の旋律(1991)
富江~恐怖の美少女(1999)
長い夢(2000)
顔泥棒(2000)
押切(2000)
墓標の町(2000)

【まんがビデオ】
富江(2000)
死びとの恋わずらい(2001)

 劇場映画はすべて観ましたが、冒頭にも書いたように、どれも出来は……。そんななかで、マイベストは短編「首吊り気球」でしょうか。ノリのいい、コミカルなタッチに仕上がっていて、伊藤潤二の原作は忘れて、楽しく観ることができました。富江シリーズは総じて可もなく不可もなく。
 TVドラマは、ビデオやDVDとして販売されている作品『富江~恐怖の美少女(市販版タイトルは『富江 アナザフェイス』)』『長い夢』『顔泥棒』を鑑賞。『押切』は観ていませんが、映画版はTVドラマを再編集したものらしいので、観なくてもいいかなと思っています。
 今回、『長い夢』(←これは悪くなかったです)を観たことで、未鑑賞は『戦慄の旋律』と『墓標の町』となりましたが、この2本はテレビ放送されただけのようですから、観るのは難しいでしょうね。再放送に期待するしかなさそうです。
まんがビデオ富江.JPG まんがビデオについては、ご存じない方も多いでしょうから、説明しておきます。原画にデジタル処理を行ない、音響効果を加えた作品で、言ってしまえば、マンガをテレビ画面で読むようなものです。
 私は、たまたまレンタル・ショップで中古を見かけて購入した『富江』だけしか観ていないのですが、これが絶品! 収録されているのは「富江」シリーズ3作、それに「なめくじ少女」「ファッションモデル」「首吊り気球」で、どれも本当に面白かったです。
『死びとの恋わずらい』もぜひ観たいものです。

【追記】
『戦慄の旋律』はDVD化されていると知りました。機会があれば、観たいと思います。
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原田宗典のショートショート集

 ちょっと前、“最も短い~”にまつわる記事を書きました。>「最も短いホラー」「最も短いリドル・ストーリー」
 ひとつ思い出した作品がありますので、紹介いたします。――原田宗典「男と女の最も短い関係」です。
 原田宗典『何の印象もない女』角川文庫(04)の巻末には「超短篇小説集」として、極めて短い小説(ほとんどが1ページ未満)が9編掲載されています。「男と女の最も短い関係」はそのなかの1編で、短い会話3行だけで成り立っている作品です。こういうの、楽しいですね。

 以下、原田宗典のショートショート集リストです。

『時々、風と話す』ミリオン出版(87)/角川文庫(89)*沢田としきとの共著。
『黄色いドゥカと彼女の手』ミリオン出版(89)/角川文庫(91)*沢田としきとの共著。
『0をつなぐ』トレヴィル(90)/新潮文庫(93)
時々、風と話す.JPG 黄色いドゥカと彼女の手.JPG 0をつなぐ.JPG
『透明な地図』TOKYO FM出版(92)/『海の短篇集』角川文庫(97)
『どこにもない短篇集』徳間書店(93)/徳間文庫(97)/角川文庫(03)
『人の短篇集』角川書店(97)/角川文庫(99)
透明な地図.JPG 海の短篇集.JPG どこにもない短篇集.JPG 人の短篇集.JPG
『ゆめうつつ草紙』幻冬舎(99)/幻冬舎文庫(02)*再編集。
『旅の短篇集 春夏』角川文庫(00)
『旅の短篇集 秋冬』角川文庫(01)
『何の印象もない女』角川文庫(04)
ゆめうつつ草紙.JPG 旅の短篇集 春夏.JPG 旅の短篇集 秋冬.JPG 何の印象もない女.JPG
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豊田有恒のショートショート集

 豊田有恒のショートショート集リストを掲載します。豊田有恒は第1世代SF作家のなかで、星新一、眉村卓に続くショートショートの書き手です。この3人の作風は、まさに三者三様。こういった幅の広さがショートショート・ブーム(1970年代後半~1980年代前半)を支えていたような気がします。
 豊田さんには、個人的にも大変お世話になりました(→「ショートショートと私」)。岬兄悟さんを紹介してくれたのも豊田さんでした(→「岬兄悟のショートショート集」)。

『自殺コンサルタント』三一書房・さんいちぶっくす(69)/ハヤカワJA文庫(73)/角川文庫(75)
 ハヤカワJA文庫(現在はハヤカワ文庫JA)、角川文庫では4編を割愛。その4編は『サイボーグ王女』角川文庫(75)、『アメーバ妖女』集英社文庫(86)に収録されています。
『長髪族の乱』角川文庫(74)
『禁断のメルヘン』角川文庫(74)
『イルカの惑星』文化出版局・FICTION NOW(74)/角川文庫(76)
自殺コンサルタント.JPG 長髪族の乱.JPG 禁断のメルヘン.JPG イルカの惑星.JPG
『夢の10分間』徳間書店(75)/講談社文庫(79)*表題作を追加。
 講談社文庫版に収録された「夢の10分間」は書下ろしです。それまで『夢の10分間』という作品集はあるけど、「夢の10分間」という作品はなかったんですね。「文庫化されるなら、書いちゃえ」ということなのでしょう。こういう読者サービスというか遊び心が豊田さんの魅力のひとつでもあります。
『非・文化人類学入門』講談社(76)/講談社文庫(78)/角川文庫(78)
『ビバ日本語!』徳間書店(77)/徳間文庫(82)
『SF文迷論入門』講談社(78)/『悪魔の城』講談社文庫(86)*表題作を追加。
夢の10分間.JPG 非・文化人類学入門.JPG ビバ日本語!.JPG SF文迷論入門.JPG
『くたばれ敬語』角川書店(81)/角川文庫(86)
『四丁目の決闘』角川書店(83)
『アメーバ妖女』集英社文庫(86)
『日米グルメ摩擦』角川文庫(89)
くたばれ敬語.JPG 四丁目の決闘.JPG アメーバ妖女.JPG 日米グルメ摩擦.JPG
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『フレドリック・ブラウン傑作集』の紹介文

『SEXは必要か』と『性の心理』の違いなんて、そんなことを気にする人は、日本じゅうで私だけかもしれませんね。とりあえず現物チェックができ、ほっとしています(前の記事「ジェイムズ・サーバーの作品集」参照)。
 今回の記事も、どうでもいいようなことかもしれませんが……。
フレドリック・ブラウン傑作集.JPG ロバート・ブロック編『フレドリック・ブラウン傑作集』サンリオSF文庫(82)のカバーに書かれている紹介文が2種類あることは、熱心なファンの間では比較的よく知られています。重版されたときに差し替えられたんですね。
 2種類の紹介文。――そのトーンの違いには驚くばかりです。紹介文だけのために同じ本(版違い)を2冊買うような酔狂者は少ないでしょう。両方をまとめて目にする機会は少ないと思いますので、写真をアップしておきます。
 上の写真が初版(1982年2月15日発行)、下が3刷(1983年3月30日発行)の紹介文です。
初版.JPG
3刷.JPG
 で、ここでまた気になるのは2刷はどうなのか、ということです。おそらく3刷と同じと思うのですが……。
 もし2刷をお持ちの方がおられましたら、ご確認いただけると嬉しいです。

 ついでに、『フレドリック・ブラウン傑作集』関連で気になっていることを――
『気まぐれスターダスト』出版芸術社・ふしぎ文学館(00)に掲載されている日下三蔵編「星新一完全著作リスト」には、『フレドリック・ブラウン傑作集』は「カバー 帯」と記載されています。
 私は新刊発行時に購入していますが、手持ちの本に帯は付いていませんし、帯付の本を見た記憶もありません。以前、周囲の星新一ファン(複数)に確認したこともありますが、どなたの本にも帯は付いていないとのことでした。
 フェア帯などは別として、少なくとも新刊発行時には帯は付いていなかったのではないかと思うのですが、はて?
 帯付本をお持ちの方、おられますか?
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ジェイムズ・サーバーの作品集

サーバーおじさんの犬がいっぱい.JPG 先月末、マイケル・J・ローゼン編『サーバーおじさんの犬がいっぱい』筑摩書房(09)を買いました。ジェイムズ・サーバーのエッセイ集です。半年くらい前に発行された本で、もちろんそれは知っていましたが、なぜだか勝手に、『サーバーのイヌ・いぬ・犬』早川書房(82)/ハヤカワ文庫NF(85)の新訳改題版であると思い込んでいました。
 ちゃんと見てみると、重複作品はあるものの、別の本なんですね。いちおうエッセイ集ということになっていますが、『サーバーのイヌ・いぬ・犬』と同様に、小説も収録されています。
サーバーのイヌ・いぬ・犬.JPG これは迂闊でした。怠慢を反省していますが、それはともかく。
『ショートショートの世界』46~47ページにも書きましたように、サーバーはショートショートの歴史上、重要な作家です。ただし、サーバー作品はショートショートなのかエッセイなのか、その中間に属するような作品が多く、きっちりと分類することは困難です。
 そんなわけで、ショートショート集リストを作るのは難しいんですが、以下、ご参考のために――
 ショートショートやエッセイの作品集リストです。

『現代イソップ』万有社(50)
 のちに『福田恒存翻訳全集 第一巻』文藝春秋(92)に収録。万有社版は全24編、全集版は全28編です。
『虹をつかむ男』早川書房・異色作家短篇集(62)/早川書房・異色作家短篇集(76)*新装版/早川書房・異色作家短篇集(06)*新装版
『たくさんのお月さま』学研・新しい世界の童話シリーズ(65)
 童話「たくさんのお月さま」とともに「新イソップものがたり」を収録。
『空中ブランコに乗る中年男』講談社(74)/講談社文庫(87)
『虹をつかむ男』角川文庫(74)/『ジェイムズ・サーバー傑作選Ⅰ』創土社(78)
『マクベス殺人事件の謎』角川文庫(75)/『ジェイムズ・サーバー傑作選Ⅱ』創土社(78)
 この4冊の書影は記事「ショートショートの迷宮(第3回)」に掲載しています。
『サーバーのイヌ・いぬ・犬』早川書房(82)/ハヤカワ文庫NF(85)
サーバーおじさんの犬がいっぱい』筑摩書房(09)
現代イソップ.JPG 虹をつかむ男.JPG たくさんのお月さま.JPG 空中ブランコに乗る中年男.JPG
 以上です。
 他作家との合集は割愛しましたが、『現代アメリカ文学全集 第四巻』荒地出版社(57)だけは特別に付け加えておきたいと思います。リング・ラードナー、マッキンレー・キャンターとの合集で、サーバー作品は「苦しい思い出」「サーバー・アルバム」を収録。サーバー作品だけでも、充分に単行本1冊分の分量があります。リング・ラードナーの「チャンピオン 他短編集」も見逃せません(7編)。
 また、ショートショートではありませんけれど、『SEXは必要か』新潮社・一時間文庫(53)も楽しい本です(E・B・ホワイトとの共著)。もちろんサーバーのことですから、真面目なセックス本であるわけがありません(笑)。
 サーバー&ホワイトには『性の心理』角川新書(54)という本もあり、現物未確認のため定かではないのですが、『SEXは必要か』の別訳版のようです。しかし、初訳の翌年に別訳? とても不自然な気がします。
 気になるので、ネット古書店に注文しました。届いたら報告します。
現代アメリカ文学全集.JPG SEXは必要か.JPG

【追記】
 9月5日、ネット古書店に注文した『性の心理』角川新書(54)が届きました。発注したのが3日で、到着が5日。素早い対応に驚いています。
性の心理.JPG さっそく、『SEXは必要か』との内容比較を行ないました。
 ほぼ同内容なんですが、微妙に違っています。
・『SEXは必要か』には献辞「デイジーとジェニーに捧ぐ」があるが、『性の心理』にはない。
・『SEXは必要か』には巻頭にE・B・ホワイトによる「紹介文」があるが、『性の心理』にはない。
・『SEXは必要か』には巻末に「用語解説」「本書中の絵について」があるが、『性の心理』にはない。
・この本の売りのひとつはサーバーによる挿絵だが、『SEXは必要か』に比べて『性の心理』は挿絵がかなり少ない。
 もしかするとテキストに使用した原書が違うのかも……と、よくよく読んでみると――
 どうやら『性の心理』は初刊本(1929年刊)を、『SEXは必要か』は再刊本(1950年刊)を使用したようです。きっちりとチェックすれば、細かい差異がたくさんあるんでしょうね。
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脱力オチ

 数時間前にアップした記事『夜にはずっと深い夜を』で、「脱力オチ」という言葉を使いました。当該記事にも書きましたように、読み終わって脱力を感じてしまうオチのことです。「おいおいっ。こんなオチ、ありかよ」と思わず突っ込みたくなるオチ、と言ってもいいかもしれません。
 ただ単にムチャなオチでも脱力してしまいますが、もちろん、そんなものは脱力オチではありません。ちゃんと計算した上で、読者を脱力させるオチです。
 脱力オチのサンプルとして、拙作「透視」をアップしておきます。作者の意図が伝わっていればいいんですが……。
 こういうのを書くのって、けっこう難しいんですよ。いや、ほんと。

「透視」を読む。


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『夜にはずっと深い夜を』

 お笑い芸人・鳥居みゆきの処女出版『夜にはずっと深い夜を』幻冬舎(09)を読みました。ショートショート集です。
 基本的には、病的なシュール。――芸風と同じです。
 よくわからない作品もありますが、全体としては楽しく読めました。
夜にはずっと深い夜を.JPG 以下、いくつか簡単な感想を……。
「妄想日記1」――ありゃ。同じアイデアで、私、ショートショートを書いたことがあるぞ。
「華子の花言葉」――シュールがエスカレートしていく。こういうの、好きだなあ。
「余命」――この本では浮いてしまう感じの、ごく普通のショートショート。
「地獄の女」――アマチュア作品で同じアイデアのショートショートを読んだことがある。
「佐々木さん」――脱力オチ(私の造語。読み終わった瞬間、脱力を感じるオチ。もちろん、悪い意味ではない)。好きだな。
「のり子」――楳図かずおにマンガ化してほしいな。
「ゴミ屋敷」――ちょっぴり筒井康隆風。
「或るマッチ売りの少女」――このネタ、テレビで見た。読みながら、映像が浮かんでしまった。
 まあ、こんなところです。
 短い作品を、きっちりと考えて作っています。芸を見ていたときにも感じていたことですが、鳥居みゆきの物語を構成する力、なかなかのものだと思います。
 発想の原点は意外にもオーソドックス(アイデアとして、目新しいものは少ない)で、書き方によっては陳腐なショートショートになってしまうところを、最初にも書いた「病的なシュール」をまとうことによって、鳥居みゆき独自の世界を作り上げることに成功しています。
 次回作にも期待できそうです。
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