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最も短いリドル・ストーリー

 大熊さんのところで、リドル・ストーリーが話題になっていて、私もコメントしちゃっています。
 で、ふと思い出しました。
 私は日本語の誤用をネタにしたショートショートを数多く書いています。そのなかにはリドル・ストーリーもあって……。
 解説付きで、どうぞ。

          *               *               *

  好きか嫌いか

「好き?」
「全然」

【解説】世界で最も短いリドル・ストーリーです(たぶん)。
 この作品における結末は「全然」ですが、この「全然」の意味するものは「好き」なのか「嫌い」なのか――言い換えると、「全然好き」と答えているのか「全然好きじゃない」と答えているのか、ということです。
「全然」という副詞は「~ない」という打ち消しの語を伴って使われるべきもの(副詞の呼応)ですから、本来でしたら「全然好きじゃない」つまり「嫌い」としか読めないはずなのですが、昨今では、「全然好き」などと間違った使い方をする人が急激に増えています。
 すなわち、正しい日本語を理解している人には「嫌い」と読めて、そうじゃない人には「好き」と読めてしまうわけで、これぞまさにリドル・ストーリー――「あえて結末を書かずにおいて、読者の判断に委ねてしまう小説」と言えるのではないでしょうか。まあ、「判断」と言えるか、そこは問題ではありますが(苦笑)。

 初出:「赤き酒場」335号(2005年11月号)
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最も短いホラー

 ブログ開設から半年近く経ちました。ここのところ更新が停滞気味ですが、それとは逆に毎日のアクセス数が急増していて、いったい何が起こったのやら……。まあ、ありがたいことです。
 さて。
 ブログをスタートさせた当初、半村良ファンクラブ〈続・半村良のお客になる会〉の会報「赤き酒場」に連載していた「ショートショートの迷宮」を再録していました。
 今日は、やはり「赤き酒場」に投稿したお便りを(若干の修正を加えた上で)再録します。「ショートショートの迷宮」の連載を始める前、第339号(2006年3月号)に掲載されたものです。

記事本文を読む。


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『オーストラリアから来た男』

オーストラリアから来た男.JPG 前の記事『絹のように美しく』で、「入手は難しそう」と書いた竹内紘子・編著『オーストラリアから来た男 ―W・A・フィニン 人と作品―』私家版(00)ですが、早くも入手できてしまいました。
 細かい事情は省きますが、もしかしたら……と一縷の望みを抱いて編著者の竹内さんに連絡したところ、「在庫はある。フィニンに興味を持ってくれるのは嬉しいので、差し上げる」と。
 それではあまりにも申しわけなく、固辞したのですが、結局、お言葉に甘えることになりました。竹内さん、本当にありがとうございます!

 本は今日の昼過ぎに届きました。500ページもある厚い本ですが、文章は読みやすいし内容は面白いし、一気に最後まで読んでしまいました。
 本書は「人物編」と「作品編」の二部構成です。「人物編」約100ページ、「作品編」約400ページ。
 私はまず「作品編」を読みました。
「SHORT SHORT」2編、「文化紹介」18編、「時事・レポート」9編、「伝承を自然科学の芽でみる」16編。ショートショートとして掲載されているのは2編だけですが、エッセイのなかにもショートショートとして読めるものもあり、楽しませていただきました。いや、ショートショート云々なんて関係なく、読み物として面白かったです。
「文化紹介」では松尾芭蕉、千利休、喜多川歌麿……。「時事・レポート」では日本人と魚に関する考察……。「伝承を自然科学の目でみる」では狐つき、タヌキ、河童、化け猫、『竹取物語』……。フィニンの日本文化や伝承に関する造詣の深さに驚かされました。
 フィニンの見方は、まさに外国人ならでは、と言えるでしょう。こういった物の見方が厖大なショートショートのバックボーンにあると考えると、非常に興味深いものがあります。
「人物編」を読むと、フィニンは生前、日本語が達者ではなかったとあり、これまた驚きですが、彼の知識欲や好奇心を支えた多くの日本人も紹介されていて、なるほどと納得しました。地域に根づいた外国人だったのですね。
「英文毎日」にフィニンが投稿を始めたきっかけにも触れられています。同紙の当時の部長はアメリカ育ちの二世で、フィニンとは飲み友だちだったとのこと。フィニンはかなりの酒豪だったようです。

 そんなわけで――
 実に楽しく充実した時間を過ごさせていただきました。
 最後に書いておきますと、竹内さんと『絹のように美しく』の訳者・田村泰さんは職場の(元)同僚だそうです。こういった縁は素晴らしいと思います。
 おふたりに、感謝!
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『絹のように美しく』

 田村泰訳『絹のように美しく オーストラリアから来た男 W・A・フィニンのショートショート』徳島出版(09)を読みました。訳者である田村さんから献本していただいた本です。田村さん、ありがとうございます。
 副題にもあるように、本書はW・A・フィニン(1900~1958)のショートショート集なんですが、フィニンをご存じの方が、はたして何人おられるでしょうか。
 田村さんからは、新聞記事のコピーもお送りいただきました。そこに書かれている紹介文には――
絹のように美しく.JPG
ウイリアム・アレクサンダー・フィニン
昭和22年、47歳の時に進駐軍の一員として徳島
に赴任。その後、徳島の女性と結婚し子どもをも
うけた。進駐軍を辞めた後は一民間人として生
涯を徳島で過ごし、その間、徳島の文化、風俗を
紹介する記事を外国人向けに「英文毎日」などに
数多く書いている。

 とあります。文化・風俗の記事ばかりではなく、昭和28年(1953年)からショートショートの執筆も開始。
「訳者後記」によりますと――
「英文毎日新聞」1953年1月14日号に掲載された「満足」がフィニンのショートショート第1作。以来、同年2月に7編、3月8編、4月10編……と書き続け、この年63編。翌54年には38編、55年と56年にはそれぞれ20編、57年25編、58年10編。「英文毎日新聞」に寄稿しただけでも計176編。(フィニンは1958年没ですから、この世に別れを告げる直前までショートショートを書いていたことになります)
 今から56年前――星新一がデビューする前に、外国人が日本の英字新聞にショートショートを200編近くも書いていた!
 驚くべき事実ではないですか。
フィニンのショートショート.JPG 私がフィニンのショートショートを読むのは、この『絹のように美しく』が初めてではありません。数年前、田村さんから『W.A.フィニンの「ショート・ショート」(1)』なる冊子(田村さん訳の20編掲載)を送っていただきました。拙著『ショートショートの世界』を読まれた田村さんが、集英社新書・編集部宛に冊子を送ってくれたのです。
 冊子を手にし、私は初めてフィニンの存在を知りました。いやあ、驚きましたねえ。嬉しかったですねえ。『ショートショートの世界』を書き、本当によかったと思ったものです。
 さて。
『絹のように美しく』には50編のショートショートが収録されています。
 50年以上前に書かれたものだけに、古さを感じることは否めません。しかし、それは決して心地悪いものではありません。O・ヘンリーやモーパッサン、チェーホフあたりとも通じる古さ、と言えば、おわかりいただけるでしょうか。
 若い人には理解できないであろう事柄に関しては、田村さんが巻末に「注釈 W・A・フィニンのショートショートが書かれた時代背景」として、懇切丁寧な解説を書いています(なんと50ページ!)。この注釈もまた、ひとつの作品と言えると思います。
 ショートショートの主流である(と私が考える)SFやミステリ・タッチの作品は少なく、ほとんどは平凡な日常を舞台にしています。オチは、天地が引っくり返るような大仰なものではなく、くすっと笑みを浮かべてしまうような、ほほえましいと表現しては語弊がありますけれど、軽いものが多いです。すれっからしの読者にはオチが読めてしまうかもしれませんが、それもまたショートショートを読む楽しみのひとつだと考えます。もちろん、そういうオチばかりではなくて、アンブローズ・ビアスを想起させる皮肉っぽいオチもあったりして、こういうのも好きですね。
 正直なところ、現在の目で見ればショートショートとして高く評価することはできませんが、時代背景を考えれば充分に合格点であり、その驚くべき作品数も含めて、評価すべき作家と思います。58歳という若さで亡くなられたのは、実に残念です。フィニンがもう少し長生きしていたら……と妄想が膨らむのは私だけではないでしょう。
 また、亡くなられる前年には星新一がデビューしています。フィニンは星新一の存在を知っていたのか、あるいは、その逆は……? 気になりますが、調査するのは至難の業でしょうね。
 ともあれ――
 素晴らしい仕事をされた田村さんに拍手、そして感謝です。
 余談ですが、フィニンは徳島県下で英語講師をしていて、田村さんはその教え子だったそうです。没後50年あまり経って、こういう本が出版され、フィニンも天国で喜んでいることでしょう。

 竹内紘子編著『オーストラリアから来た男 ―W・A・フィニン 人と作品―』原田印刷(00)という本があり、ショートショートも2編訳載されているそうです。ぜひ読んでみたいとネット検索してみましたが、残念ながらネット書店(唯一取り扱いのあるビーケーワン)では品切れでした。ネット古書店にも見当たらず……。どうやら私家版のようで、入手は難しそうです。探求書がまた1冊増えてしまいました。

【追記】12月24日
 田村泰さんから冊子を送っていただきました(下の写真)。ありがとうございます。
『絹のように美しく』の地元紙での紹介、読者の声のほか、発刊にまつわるあれこれを田村さんが綴っています。表紙画にも秘めたストーリーがあったのですね。
 読んでいると、人と人のつながりを感じ、ほんわかした気持ちになります。
その反響.JPG
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穂村弘のショートショート集

現実入門.JPG 穂村弘『現実入門 ほんとにみんなこんなことを?』光文社(05)を読みました。歌人・エッセイストである著者がさまざまな初体験に挑戦する模様を描いたエッセイ集です(光文社文庫版(09)もあり)。
「え? こんなこともしたことがなかったの?」と驚くような初体験がずらり。帯の惹句を引用すれば、“「現実」を怖れ、逃げ続けてきた男が、42歳にして初めて挑む。やるぞ、献血、合コン、部屋探し、そして遂にプロポーズ!”。
 独特の感性、軽妙な文体。非常に楽しいエッセイ集でした。
 それにしても穂村弘、かなり変な人ですねえ。私も変な人の部類にはいると自覚していますけれど、脱帽してしまいます。
 穂村弘の名を意識した(というか、知った)のは、最初はショートショートの書き手としてでした。

『いじわるな天使から聞いた不思議な話』大和書房(94)/『いじわるな天使』アスペクト(05)
『車掌』ヒヨコ舎(03)
いじわるな天使から聞いた不思議な話.JPG いじわるな天使.JPG 車掌.JPG
『いじわるな天使から聞いた不思議な話』の改題再刊『いじわるな天使』の帯には“幻のファンタジー童話集、待望の復刊!”とありますけれど、これは童話ではないですね。私、ショートショート集リストに入れています。
『車掌』は絵本に近いような造りの本で、シュールな作品が5編収録されています。なかでも表題作「車掌」! とんでもなく暴力的な車掌が登場する、ただそれだけの話で、原稿用紙1枚程度の長さなんですが、異様な迫力に満ちています。「あとがき」によれば、「間違っちゃった。/知らなかったんだ。/ごめんなさい。/だって、/本物の車掌さんをみたことがないんだもの。」とのこと。うっひゃあ、でありますけれど、『現実入門』を読むと、「さもありなん」と頷けてしまいます。

にょっ記.JPG『にょっ記』文藝春秋(06)/文春文庫(09)も大好き。いちおう日記の体裁で書かれていますが、その内容は虚構と現実が混在した、ウソ日記(あるいは妄想日記)です。ショートショート集とするには無理がありますけれど、私はショートショート集を読んでいるような感覚で読みました。
 その続編『にょにょっ記』文藝春秋(09)も出ていて、これも読むのが楽しみです(まだ買っていませんが)。

 穂村弘とは関係ありませんが――
絶叫大冒険.JPG『現実入門』を読んで、大昔に読んだ横田順彌『絶叫大冒険』講談社(83)を思い出しました。横田順彌がさまざまな初体験に挑戦するという、『現実入門』と似たようなコンセプトのエッセイ集です。
 こちらは『現実入門』とは違って、ハング・グライダーや熱気球など、体験していないのが当たり前のことが多いです。
 横田さんは、7回目の挑戦中に落馬して右手首を骨折。予定半ばで連載は終了しました。『現実入門』第1回には、「骨折体験はしたくない」なんて内容のことも書かれていて、もちろん偶然なんでしょうが、ちょっと不思議な気分がしました。
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ゾンビ映画

 お盆。先祖を供養する。ご先祖様の霊が帰ってくる。死者が蘇る。生きている死体。ゾンビ。
 こんな連想をしたわけではありませんが、なぜか無性にゾンビ映画が観たくなり、レンタルショップに足を運びました。
 借りたのは『ゾンビ・ホスピタル』と『ゾンビ2009』――どちらも予備知識ゼロです。
『ゾンビ・ホスピタル』は期待を上回る傑作でした。正確に言うと、出てくるのはゾンビではありません。精神病治療薬の副作用によって、血を見ると凶暴化し人肉を食らうようになった患者たちです。
 その薬を開発した医師が、まさにマッド・サイエンティストでして、大好きな映画『死霊のしたたり』シリーズのヒル医師(主人公ハーバート・ウエストの仇役)を思い出しました。こういうキャラクター、好きですねえ。思い切り楽しく観ることができました。
『ゾンビ2009』は期待とは全く違った意味で楽しめた怪作でした。物語の展開に奇妙な既視感があり、どこかで観たような気がするなあと思いながら観ていて、最後のシーンで、「あ、『エイリアン2』だ~」と閃きました。
 そうなんですよ。エイリアンとゾンビの違いこそあれ、ストーリーは『エイリアン2』と酷似しているのですね。ここまでやって、いいんでしょうか。
 映画の出来自体は凡作と言わざるを得ないんですが、『エイリアン』シリーズの大ファンとしては、観ておいてよかったと思う1本でした。

 6月18日の記事『ナゴム・ホラーライフ』にも書いたように、ホラー映画が大好きです。とりわけゾンビ映画には目がありません。古くはジョージ・ロメロの三部作、ルチオ・フルチの『サンゲリア』など、何度も観ました。『バタリアン』シリーズも好きでしたねえ。ほかにも傑作・怪作・凡作……もしかすると100本以上観ているかもしれません。比較的新しいところでは『デッド・フライト』が強く印象に残っています。これはもう、私のなかではゾンビ映画の殿堂入りです。
 ゾンビ映画について語り始めると止まりませんが、そういうブログではありませんので、これくらいで。
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岬兄悟のショートショート集

 何か思いついたら記事を書くというスタンスのブログですが、ここのところ何も思いつきません。7月に更新しすぎた反動かもしれないですね。
 無理に更新する気はないのですが、あんまり更新の間隔があいてしまうと、毎日訪れてくれている方々に申しわけありません。ちょっと考えて、書誌リストをアップすることにしました。
 いわゆるSF第三世代を代表するショートショートの書き手――岬兄悟のショートショート集リストです。
 岬さんとは、1978年秋――互いに商業誌デビューする前に知り合いました。豊田有恒さんのお宅に遊びに行ったとき、岬さんも来られていて、そこで紹介していただいたのです。
 会った瞬間に意気投合し、それから毎週のように会うようになりました。小説のことも話しましたが、圧倒的に馬鹿話が多く、もっと多かったのはアホみたいな行動でした。あんなところへ行ったり、こんなことをしたり……。すべては若気の至りであります。
 まあ、何をしていたかはともかく(笑)、翌1979年、ふたりとも商業誌にデビューすることができました。とてもいい関係だったと思います。
 岬さんとは、私の拠点が関西に移ってしまったこともあり、ずっとご無沙汰状態です。岬さん、お元気ですか~。
 というわけで、以下、岬兄悟のショートショート集リストです。

『リモコン・パパ』角川文庫(85)
『ロック・ミー・ベイビー』ハヤカワ文庫JA(86)
『暴走妄想空間』大陸ノベルス(89)
『愛は爆発』双葉社(90)
リモコン・パパ.JPG ロック・ミー・ベイビー.JPG 暴走妄想空間.JPG 愛は爆発.JPG
『過去電話』天山文庫(91)
『感情伝染』ハヤカワ文庫JA(92)
『トキメキ美少女は宇宙人?』小学館・てんとう虫ブックス(92)
過去電話.JPG 感情伝染.JPG トキメキ美少女は宇宙人?.JPG

 ところで。
 岬さんのデビューは一応、「SFマガジン」1979年3月号ということになっていますが、実はその前にも商業誌に作品が掲載されています。「小説怪物」創刊号(1978年11月号)に掲載された短編「ふとん奇譚」です。(これは裏話ですが、「小説現代Gen」誌の読者投稿コーナーにショートショート「夜道の争乱」が掲載され、それを読んだ編集者が執筆依頼をしてきたそうです。読者投稿コーナーで岬さんの才能に気づいた編集者、偉い!)
小説怪物」は隔月刊で計4冊が発行されました。久びさに中身を確認したところ、目次に“ショートショート”という文字が躍りまくっていて、何とも言えない気分になりました。
 第2号から始まった連載「一千一字物語」は、1ページに収まる長さのショートショート競作企画です。これは終刊となる第4号(1979年5月号)まで続き、毎回11名が参加していました。改めて眺めると、すごい執筆陣です。
小説怪物1.JPG 小説怪物2.JPG 小説怪物3.JPG 小説怪物4.JPG
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恐怖・怪奇・幻想小説シリーズ

 いつも楽しく読ませていただいているブログ「奇妙な世界の片隅で」で、「欧米の怪奇小説をめぐって」という怪奇小説アンソロジーの紹介記事が連載されています。これは好企画ですね。
 この手の本は私も大好きですから、紹介されている本のほとんどは所有していますが、読んでいない本も多く、反省することしきりです。私みたいな人間にとって、丁寧な内容紹介は実にありがたいです。ホラーに限らず、異色短編のファンの方には、ぜひ! とお勧めします。
 河出文庫の中田耕治編『恐怖通信』(85)、『恐怖通信Ⅱ』(87)も紹介されていて――このあたりは発売時に購入して読んでいますが、ふと、「あれ? 似たような本、もう1冊出てなかったかな」と思いました。書庫で確認してみますと、A・E・ヴァン・ヴォークト『モンスターブック』(86)でした。中田耕治編ではありますが、これはアンソロジーではなく、ヴォークトの短編集ですから、紹介されていないのも当然です。
恐怖通信.JPG 恐怖通信Ⅱ.JPG モンスターブック.JPG
 さて、ここからが本題です。
 久しぶりに中田耕治編の3冊を手にして、気がついたことがあります。3冊とも帯に“恐怖・怪奇・幻想小説シリーズ”と書かれているんですね。あと、本の袖に、やはり“恐怖・怪奇・幻想小説シリーズ”の1冊として、デビッド・セルツァー『オーメン』のタイトルもあります。
 へえ、こんなシリーズがあったんだ。“恐怖・怪奇・幻想小説シリーズ”って、この4冊以外にも出ているのかなあ。
 とまあ、書誌フェチは思ってしまったのです。
 簡単にネット検索してみましたが、それらしい本は見当たらず……。
 ショートショート関連の資料というわけではなく、どうでもいいと言えばどうでもいいことなんですけれど、ちょっと気になっています。
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世界ユーモア文学選

 ずいぶん前――3月6日の記事「ショートショートの迷宮(第2回)」で、〈世界ユーモア文学全集〉を採り上げました。1960年から1963年にかけて筑摩書房から発行された全18巻の叢書です。
 同記事には、以下のように書きました。
          *               *               *
〈世界ユーモア文学全集〉は1969年には〈世界ユーモア文学選〉として、さらに1977年から78年にかけては〈世界ユーモア文庫〉として、全10巻の再編集新装版が刊行された(両者は同一ラインナップ。いずれもソフトカバー)。
     ―リスト省略―
 新装版では、別巻の3冊、さらにはモルナールやボンテンペリなどの作品もカットされ、少なくとも私にとっては、大きく魅力が失われた叢書になってしまった。先ほど「長編を除いて再編集したら、ショートショートの叢書になる」と書いたが、その逆に近い方針で再編集が行なわれてしまったわけで、残念な限りである。
 なお、別巻の3冊は、別の形で新装版(ソフトカバー)が発行され、さらにはちくま文庫にも収録されている。
 河盛好蔵訳編『ふらんす小咄大全』筑摩書房(68)/ちくま文庫(91)
 井上一夫訳編『アメリカほら話』筑摩書房(68)/ちくま文庫(86)*ちくま文庫版は再編集
 浜田義一郎訳編『にっぽん小咄大全』筑摩書房(68)/ちくま文庫(92)
          *               *               *
 実は〈世界ユーモア文学選〉は、記事を書いた3月6日の時点で所有していたのは、書影を掲載した『マリナー氏ご紹介/トッパー氏の冒険』だけでした。ほんと、見かけないんですよね。>〈世界ユーモア文学選〉
 先日、〈世界ユーモア文学選〉版の『エッフェル塔の潜水夫』を入手しました。巻末に既刊目録があって、それを見ると、『ふらんす小咄大全』『にっぽん小咄大全』『アメリカほら話』の3冊も〈世界ユーモア文学選〉に含まれています。――つまり、〈世界ユーモア文学選〉は全10巻ではなくて、全13巻(あるいは、全10巻+別巻3冊)だったんですね。
 別巻(?)の3冊は所有していますが、どこにも〈世界ユーモア文学選〉とは書かれていなくて、気がつきませんでした。いいかげんな調査であったと反省しています。
 なお、〈世界ユーモア文庫〉は全10巻で間違いないと思います。

 書影はカミ『エッフェル塔の潜水夫』の――左から〈世界ユーモア文学全集〉版(61)の函と本体、〈世界ユーモア文学選〉版(69)、〈世界ユーモア文庫〉版(77)です。
エッフェル塔の潜水夫(61)函.JPG エッフェル塔の潜水夫(61)本体.JPG エッフェル塔の潜水夫(69).JPG エッフェル塔の潜水夫(77).JPG

【追記】2011年1月7日
 続報をアップしました。→こちら
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映画『赤んぼ少女』

 映画『おろち』の記事にも書いたように、楳図かずおの恐怖マンガの大ファンです。映像化された作品もほとんど観ていますが、どれも「マンガの怖さ、とても映像では表現できないな」と言わざるを得ないのが残念。
 昨夜、楳図ホラーの代表とも言える傑作の映画化『赤んぼ少女』を観ました。
のろいの館.JPG 詳しいことは知りませんが、原作マンガは「少女フレンド」連載時には『赤んぼ少女』というタイトルで、単行本化にあたって『のろいの館』に改題。その後『赤んぼう少女』と再改題され、現在は連載時と同じ『赤んぼ少女』に戻された本も出版されているようです。
 私が初めて読んだのは、『のろいの館』サンデーコミックス(69)です。ほんと、怖かったですね。>タマミ
 で、映画ですが、細かな改変は多く、原作に忠実とは言えないものの、全体の流れとしては原作を損なうものではありませんでした。もちろん原作と比べれば恐怖度は劣りますけれど、ここまでやってくれれば満足です。楳図かずお原作の実写版としては、最上級の出来と言えるのではないでしょうか。
 怖いです。しかし切ないです。>タマミ
 堪能しました。
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星新一「神意」

 ずいぶん昔の話になりますが、ある熱烈な星新一ファンの方から、単行本未収録という星新一作品(コピーではなく、ワープロで打ち直したもの)をいただきました。
 当時はまだショートショートの研究なんて考えてもいませんでしたので、きっちりとチェックもせず、読んだだけで済ませてしまいました。「星さんの未収録作品、もらったんだよな」という記憶は残っていたものの、それがどこにあるやら、さっぱり覚えていません。
 ところがですね、つい先ほど、ひょろんと出てきたのです。作品名は「神意」で、1962年発行の「中二時代」付録に掲載されたと書かれています。(ネット調査してみますと、「高一時代」1961年7月号に「神意」という作品が掲載されているというデータがあります。確かなことは言えませんが、「高一時代」が初出で、「中二時代」は再録なのかも)
 それはともかく、読み直してみて――
黒い光.JPG あれ? これ、単行本未収録ではないぞ。
 と気がつきました。記憶をまさぐると、ある作品が思い浮かびます。
 さっそく、その作品――「ピーパ星のさわぎ」をチェックしてみたところ、大当たり! 「ピーパ星のさわぎ」は「神意」を改題したものだったのですね。
「神意」をいただいた当時、「ピーパ星のさわぎ」が収録されていたのは『黒い光』秋田書店・ジュニア版SF名作シリーズ(66)だけでした。この本、私は大学生のころに入手し、確実に読んでいるはずです。
 なぜ初読時に気づかなかったかというと、いいかげんな読み方をしていたせい、あるいは遥か昔に読んだだけということもあるでしょうが、重要な部分が改稿されていたからです。――それは、星の名前。
 舞台となる星の名前が「神意」では“ある惑星”としか書かれていないのです。もちろん「ピーパ星のさわぎ」では“ピーパ惑星”と明記されています。いくらいいかげんな読み方をしていても、たとえ大昔に読んだものであっても、“ピーパ惑星”なんて書かれていたら、さすがに気がつきますよ。
 思えば、“ピーパ惑星”って、ちょっと不自然なネーミングです。タイトルに合わせた“ピーパ星”が自然ではないかと思いますが、これは「神意」の“ある惑星”という表記の名残なのでしょう。
 大した発見ではないのかもしれませんが、こういうのは嬉しいです。

ふしぎな夢.JPG気まぐれスターダスト.JPG「ピーパ星のさわぎ」は、現在では『黒い光』だけではなく、『気まぐれスターダスト』出版芸術社・ふしぎ文学館(00)、『ふしぎな夢』新潮文庫(05)にも収録されています。
 ちなみに、『黒い光』の目次では「ピーパー星のさわぎ」と誤植されています。発行ぎりぎりの時点で改題・改稿されたのかもしれません。
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『妄想の祭典』

 鈴木秀『妄想の祭典 ショート・ショート40』文芸社(08)を買いました。
 先日、ネットで調べものをしていたとき、偶然この本のタイトルと著者名が目に飛び込んできたんですね。タイトルはともかく、著者名が気になって――
妄想の祭典.jpg この名前、どっかで見たことがあるような気がするなあ。星さんのショートショート・コンテストだったような気がするけど、う~~~ん、わからんなあ。『ショートショートの広場』や「ショートショートランド」を全部チェックすれば、何かわかるかもしれないなあ。でも、面倒臭いなあ。
 おそらく自費出版の(あるいは、それに類する)ショートショート集と思われます。こういった本は数多く出ていますが、すべてを把握するのは不可能に近いです。私のなかでは参考資料的な位置づけ。完全収集の対象からは外していて、新刊で買うことは滅多になく、古本屋で見かけたら買うというスタンスです。(それでも数十冊は所有していると思います。もしかしたら100冊以上かも)
 通常でしたら、「ま、いっか」と放置しておくところなのですが、どうにも気になります。しばし逡巡した末、「いいや。買ってしまえ。何か書いてあるかもしれない」と書店に取り寄せをお願いしたのです。
 残念ながら、著者プロフィールや「あとがき」には、ショートショート・コンテストに関する記述はありませんでした。「あとがき」は「私とショート・ショートの出会いは、三十数年前、星新一氏の作品を手にした時に遡る」に始まり、「星新一」のオンパレード。星さんに対するリスペクトが伝わってくる「あとがき」です。
 実際、収録作をいくつか読んでみたところ、星作品の影響を強く感じました。ショートショートのことがよくわかっているなあという印象です。
 著者は昭和30年生まれということで、私よりも2歳上です。星さんのコンテストに応募していた中心世代ですね。となれば、コンテストに応募していても不思議はなく――というより、応募しなかったとしたら、そちらのほうが不自然ではないかと思いますが、もし入選していたとしたら、プロフィールか「あとがき」に書くでしょうし……。
 う~~~ん、わかりません。

 というわけで、本を買ってみたものの、有力な手掛かりを得ることはできませんでした。私の勘違いなんでしょうかねえ……。
 いずれはきっちりとチェックしなければならないと思いますが、とりあえずは放置です(笑)。

【追記】2010年1月11日
 続報を書きました。→ここ
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映画『サイコ』シリーズ

 今日は久しぶりに映画を観ました。何を今さら……と思われるでしょうが、『サイコ2』と『サイコ3 ―怨霊の囁き―』です。
 シリーズ第1作である『サイコ』は何度も観ていますが、なぜか続編を観る機会を逸していたんですね。もちろん、『サイコ』が傑作なのは、よく承知しています。スリラー映画として、最高峰に位置する作品と思います。
 まずは『サイコ2』。――これ、面白かったです。第1作と比べると今ひとつではありますが、充分に満足しました。これまで観ていなかったことを後悔しています。
 引き続いて、『サイコ3 ―怨霊の囁き―』ですが……。う~~~ん、悪くはないけれど、観なくてもよかったかな、という感想です。
サイコ(映画).JPG サイコ2(映画).JPG サイコ3(映画).JPG
 映画『サイコ』シリーズは――
『サイコ』1960年製作
『サイコ2』1983年製作
『サイコ3 ―怨霊の囁き―』1986年製作
『サイコ4』1990年製作(テレビ映画)
『サイコ』1998年製作(第1作のリメイク版)
 3のあとの2作品は未鑑賞です。どんな内容なのか、簡単にネット調査してみました。これは観ないほうがいいのかも。

 言うまでもありませんが、第1作『サイコ』はロバート・ブロック原作の映画化です。
 ブロックによる『サイコ』シリーズ邦訳は以下の通り。
『気ちがい』ハヤカワ・ポケット・ミステリ(60)/『サイコ』ハヤカワ文庫NV(82)*改題
『サイコ』創元推理文庫(99)*新訳
『サイコ2』創元推理文庫(83)
『サイコハウス』創元推理文庫(92)
気ちがい.JPG サイコ.JPG サイコ2.JPG サイコハウス.JPG
 ブロックの短編集に関しては記事「ロバート・ブロックの短編集」『トワイライトゾーン』でリストを挙げています。ご参考に。
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