So-net無料ブログ作成

大阪ショートショート大賞

 昨日に引き続いて、私が選者を務めたショートショート・コンテストについて書きます。

 大阪シナリオ学校は1999年、〈ショートショート大賞〉の募集を始めました。――ショートショートのコンテストです。
〈チャレンジコンテスト〉ほどではありませんが、こちらも少々ややこしい変遷を経ています。第5回から〈大阪ショートショート大賞〉と名称が変更され、第7回から運営が創作サポートセンターに変わったのです。コンテストの名称を変更したのは、その規模に対して〈ショートショート大賞〉というのは、あまりにも大仰すぎると考えたからでしょうね。
 このコンテストは年に1度の開催で、2003年開催の第5回までは堀晃さんが1人で選考されていましたが、第6回(2004年)からは私も選考に加わりました。第8回(2006年)で私は選考を降り、第9回(2007年)からはふたたび堀さん1人の選考となっています。選者を辞したあとのことは詳しく知りませんが、昨年には第10回が行なわれたようですし、今年は第11回が行なわれるのでしょう。
 私が加わった3年間、大賞は1作も出ませんでした。選考基準はかなり甘くしたつもりだったのですけれど、大賞に推せるような応募作に巡り合えなかったのです。いやほんと、残念でした。
 手元にある入選作品集は以下の8冊です(第1回から第8回まで)。簡易印刷された作品をホチキスでとめただけという、手作り感満載の作品集です。サイズは「第6回」までA4で、「第7回」からB5です。
 写真では判別できないと思いますが、「第6回」作品集が2冊あり、「第7回」作品集がありません。もちろん、第6回が2回開催されたわけではなく、1冊は「第7回」の誤植です。
第1回.JPG 第2回.JPG 第3回.JPG 第4回.JPG
第5回.JPG 第6回.JPG 第7回.JPG 第8回.JPG
          *               *               *
 以下、余談です。
 大昔、まるっきり畑違いのコンテストの審査員を務めたこともあります。
 モーターマガジン社の「月刊カメラマン」なる雑誌で行なわれた〈ミノルタX-700 マルチ・ファンクション・バックを使ったユニーク・アイデア大募集!〉という公募企画の審査員です。
月刊カメラマン.JPG  募集要領.JPG
 応募要領が掲載されたのは「月刊カメラマン」1982年1月号で、この号は手元にあるんですが、残念ながら結果発表の号は見当たらず……。どんな審査を行なったのか、記憶は忘却の彼方です。
 というか、こんなコンテストがあったことすら忘れていました。昨日の記事で採り上げた「Challenge」の隣に「月刊カメラマン」が並んでいまして、「はて? なんでこんな雑誌があるんだろう」と手に取ってみたところ、当該記事のなかに私の名前を見つけたんですね。
 応募要領には「400字詰原稿用紙3枚以内に、キミのユニークなアイデアをまとめる(図解入りでもOK)」と書かれています。アイデアを審査するという点では、ショートショートと全く無関係でもないようで、それでカメラには門外漢の私も審査員に加わることになったのでしょう。
 たぶんまた忘れてしまうと思いますので、ここに書いておくことにしました。
 何やってたんだか。>24歳の私(笑)
コメント(0) 

チャレンジコンテスト

 ショートショート・コンテストの話題ついでに――
 私も過去に2度、ショートショート・コンテストの選者を務めたことがあります。
 最初は、“進研ゼミ”で有名な福武書店(現在はベネッセ)が主催していたコンテストです。このコンテストは名称も含め、マイナーチェンジが繰り返されました。ややこしい変遷があり、紹介しづらいんですが、何とか頑張ってみます。

 このコンテスト、開始当初はその名称すら定かではありません(存在しなかったのかも)。
 私が関係する前にも少なくとも2回のコンテストが行なわれ、選考は編集部が担当していました。まずは、私が把握している2回のデータを掲載します。
「第一期SFショートショート優秀作」の発表は「高三Challenge」1980年8月1日号、「第二期SFショート・ショート優秀作品」の発表は「高二Challenge」1980年10月1日号ですが、これは手元にあるものだけであって、別の学年向けの「Challenge」にも掲載されていたと思います(以下同様)。
 私が初めて選者を務めたのは、その翌年です。相変わらずコンテスト名は不明。私が選考した「SFショートショート優秀作」は「受験講座Challenge」1981年10月15日号に掲載されました。
チャレンジ80.8.1.JPG チャレンジ80.10.1.JPG チャレンジ81.10.15.JPG
 ここまでは、読者の投稿コーナーの拡大版的な扱いだったようですが、1982年からは大幅にリニューアルされます。「SFショートショート」ではなくて「創作ショートショート」となって、SF部門、童話部門、短編部門に分けられたのです(3回目からは「創作」の2文字が消えます)。SF部門の選考は私が担当し、ほかの2部門は木暮正夫氏が担当されました。
「第1回創作ショートショート優秀作」――「高一Challenge」1982年10月1日号に発表。
「第2回創作ショートショート優秀作」――「高一Challenge」1983年1月1日号に発表。
「第3回ショートショート優秀作」――「高一Challenge」1983年8月1日号に発表。
 短編部門が小説部門と名称変更。
「第4回ショートショート優秀作」――「高一Challenge」1984年1月1日号に発表。
チャレンジ82.10.1.JPG チャレンジ83.1.1.JPG チャレンジ83.8.1.JPG チャレンジ84.1.1.JPG
 4回行なわれたところで、ふたたびリニューアルされます。新たにイラスト部門(選者・西村昭夫)、ポエム部門(選者・水野るり子)も創設され、それに伴い、〈チャレンジコンテスト〉という名称が冠せられたのです。このあと、選者が増えたり交替したりしますが、煩雑になりますので、SF部門以外のデータは割愛します。
〈第1回チャレンジコンテスト '84年度前期〉の入選作――「高一Challenge」1984年8月1日号に発表。
〈第2回チャレンジコンテスト '84年度後期〉の入選作――「高一Challenge」1985年1月1日号に発表。
 この第2回コンテストから、SF部門の選者に安田均氏が加わり、私と2人で選考することになります。編集部より「複数の選者にしたい」との要請があり、安田さんにお願いしたのでした。
〈第3回チャレンジコンテスト '85年度前期〉の入選作――「高一Challenge」1985年8月1日号に発表。
〈第4回チャレンジコンテスト '85年度後期〉の入選作――「高一Challenge」1986年1月1日号に発表。
チャレンジ84.8.1.JPG チャレンジ85.1.1.JPG チャレンジ85.8.1.JPG チャレンジ86.1.1.JPG
 以上で〈チャレンジコンテスト〉は終了しました(と思います)。約5年間、非常に楽しかったですね。

 なお、〈チャレンジコンテスト〉の第1回から第3回は、選外佳作も含めた作品集が刊行されています。(第4回分も出ているかもしれませんが、私の手元にはありません)
「チャレンジコンテスト 第1回作品集」1984年10月1日発行
「チャレンジコンテスト 第2回作品集」1985年2月1日発行
「チャレンジコンテスト 第3回作品集」1985年10月1日発行
第1回作品集.JPG 第2回作品集.JPG 第3回作品集.JPG

 ややこしや~、ややこしや~、ですね。うまく整理できなくて、申しわけありません。
 私が選者を務めたショートショート・コンテストはもうひとつありますが、この〈チャレンジコンテスト〉の記事を書くだけで疲れてしまいました。
 もうひとつのコンテストに関しては、また後日。
コメント(2) 

斎藤栄のショートショート

推理コント入選佳作.JPG 昨日の記事「黎明期のショートショート集」に雫石さんからいただいたコメントを読んで、「確か、このことは『ショートショートの世界』に書かなかったな」と思い出したことがあります。

宝石60年3月号.JPG 熱心なファンならご存じでしょうが、斎藤栄のデビュー作はショートショートです。――〈宝石・面白倶楽部共催推理コント〉に佳作入選した「星の上の殺人」。入選が発表されたのは「宝石」1960年3月号でした(柿大介「凍る尿」と同時入選)。
「星の上の殺人」は、反則ぎりぎりとも言えるトリッキーな作品です。私、こういうのも好きですね。

 長編ミステリ作家の代表みたいな斎藤栄ですけれども、ショートショートも見逃すことはできません。純然たるショートショート集はありませんが、以下の本には数多くのショートショートが収録されています。

『夢見指南殺人事件』双葉ノベルス(81)/双葉文庫(85)/廣済堂文庫(95)
 短編5編と、「恐怖の1ダース」(ショートショート12編)を収録。
夢見指南殺人事件.JPG 夢見指南殺人事件(双葉文庫).JPG 夢見指南殺人事件(廣済堂文庫).JPG
『星の上の殺人』トクマノベルス(84)/徳間文庫(88)/講談社文庫(94)
 短編2編、「コント・ミステリー」(ショートショート12編)、連作ハード・ボイルド「国際秘密警察」(全5作。これも各編は短いです)を収録。
星の上の殺人.JPG 星の上の殺人(徳間文庫).JPG 星の上の殺人(講談社文庫).JPG
コメント(0) 

黎明期のショートショート集

 日本ショートショートの歴史は昭和32年、星新一の登場によってスタートします。
 もちろん先駆的な作家や本は数多く存在しますが、星新一の最初のショートショート集『人造美人』を日本人初のショートショート集と言っても過言ではないと考えています。
 日本ショートショートの黎明期――昭和30年代後半には、どんなショートショート集が出版されたのでしょう。『人造美人』の刊行された昭和36年から39年にかけて出版された、日本人作家によるショートショート集を紹介します。

◆昭和36年
・2月:星新一『人造美人』新潮社
・8月:星新一『ようこそ地球さん』新潮社
・12月:星新一『悪魔のいる天国』中央公論社
人造美人.JPG ようこそ地球さん.JPG 悪魔のいる天国.JPG
◆昭和37年
・7月:都筑道夫『いじわるな花束』七曜社
・7月:星新一『ボンボンと悪夢』新潮社
いじわるな花束.JPG ボンボンと悪夢.JPG
◆昭和38年
・5月:山川方夫『親しい友人たち』講談社
親しい友人たち.JPG この本に関しては、記事「ミステリ専門誌のショートショート特集」もご参考に。初出データを掲載しています。ショートショート・ファン、必読の本です。
・7月:佐野洋『見習い天使』新潮社
・8月:樹下太郎『プロムナード・タイム』東方社
 初刊本は未所有。書影は昭和41年刊の新装版です。あまり状態はよくないのですが、超格安(たぶん)で買いましたので、贅沢は言えません。本当に面白いショートショート集で、この本が容易に入手できないのは残念です。
・8月:星新一『宇宙のあいさつ』ハヤカワSFシリーズ
・12月:城昌幸『みすてりい』桃源社
見習い天使.JPG プロムナード・タイム.JPG 宇宙のあいさつ.JPG みすてりい.JPG
【註】この時期、武野藤介が大活躍していて、この年には記事「石原藤夫のショートショート」で触れた『武野藤介紅舌集』も出ていますが、ショートショート集と見るには「?」です。ほかにもコント集はいろいろと出版されていますが、この記事では割愛しています。

◆昭和39年
・4月:菊村到『こちら社会部』毎日新聞社
・6月:山川方夫『長くて短い一年』光風社
 ショートショートというには少々長めですが、重要な1冊と思います。
・7月:星新一『妖精配給会社』ハヤカワSFシリーズ
・12月:福島正実編『SFエロチックス』三一新書
 この後、三一書房ではショートショート集の刊行に力を入れます。記事「三一書房の功績」をご参照ください。
こちら社会部.JPG 長くて短い一年.JPG 妖精配給会社.JPG SFエロチックス.JPG
【註】この年には星新一の私家版『花とひみつ』も出ていますが、ショートショート「集」ではありません。

 こうして眺めてみると、予想はされていたことですが、星新一が突出していますね。あと、昭和38年の充実ぶりには目を瞠ります。
 昭和40年代にはいると数多くのショートショート集が刊行されるようになり、昭和40年代後半には続々と文庫化。そして昭和50年代に日本ショートショート界は最盛期を迎えます。私はこのころ、青春時代を過ごしました。
コメント(4) 

誕生日です。

 いわゆる日記みたいなものは書かないことにしているブログではありますが……。
 今日は私の誕生日です。52歳になりました。
 ブログを開設したのは今年の2月27日です。はからずも、ちょうど5ヶ月が経ったということになります。ほんと、何も考えずに始めたブログですが、なんとか順調に続けられたような気がします。
 記事数はもうすぐ100件。掲載した書影数は1000枚を超えました。アクセス数も徐々に伸びています。何人くらいの方が定期的に訪れてくれているのか、判然としませんが、いろいろな方に読んでいただいているのであろうことは確かです。ご愛読、ありがとうございます。
 ブログを始めた当初、どうしても書いておきたいと思っていた事柄――『ショートショートの世界』の訂正と補遺に関しては、おおむね書き終えることができました(書誌データは、また折に触れてアップしますが)。その後は、思いついたことを好きなように書き散らしています。もちろん基本はショートショートですが、たまには外れることも……。
 今後も、このようなスタンスで続けていこうと思っています。どうぞよろしくお願いします。
コメント(4) 

『句集 霧を行く』

 眉村卓さんから新刊『句集 霧を行く』深夜叢書社(09)をいただきました。ありがとうございます。

霧を行く.JPG 私は無粋者ゆえ、俳句のよさは今ひとつ理解できないのですが、そこかしこに眉村さんの香りというか息吹というか、そんなものを感じ、眉村作品の愛読者としてはそれだけでも嬉しいです。これが眉村さんの原点なんですね、きっと。
 巻末に収録されている「俳句と私」は、「あとがき」のようなものですが、30ページ近いボリュームがあります。これは俳句を中心とした、眉村さんの自分史ですね。ファンにはぜひ読んでいただきたいと思います。
 以下に「俳句と私」から一部引用し、この記事を締めくくります。

よくできたショートショートの読後のぱぁーっと発光する気分と、俳句の結晶あるいは発散のイメージは、どこか似ている。SFと俳句の間のつながりのような気がしていた。(今は……あまりそんなことは考えない)
コメント(0) 

「SFシンドローム」

 式貴士さんの関係で思い出したことがありますので、書くことにしました。

 その昔、「小説春秋」という隔週刊の小説誌がありました(1980年9月号から月刊)。
 1980年1月25日号から1981年10月特大号にかけて、「SFシンドローム」というショートショートの連載企画があったことを覚えている方はおられるでしょうか。
 全28編すべての作品をスクラップしてありますので、まずは、その作品リストを掲載します。

小説春秋80.2.5.JPGPart1「悪魔講」鏡明
Part2「最後の大魔術」高井信
Part3「超能力・痴漢術」式貴士
Part4「嘘ひきずって」かんべむさし
Part5「息子よ……」横田順彌
Part6「三つの願い」梶尾真治
Part7「ダリ光線」岬兄悟
Part8「殺戮のバラード」津山紘一
Part9「北海道株式会社」藤井青銅
小説春秋80.6.5.JPGPart10「不条理特急、東へ」高井信
Part11「触覚魔」式貴士
Part12「週に一度のお食事を」新井素子
Part13「触覚息子」式貴士
Part14「地球滅亡」横田順彌
Part15「エレベーターハウス」岬兄悟
Part16「下水道の怪獣」津山紘一
Part17「夢みる瞳」藤井青銅
Part18「それは〈森〉から始まった」高井信
小説春秋80.12.JPGPart19「コピー」森下一仁
Part20「触らぬ神に」二宮由紀子
Part21「予知能力」吉沢景介
Part22「呪い師」佐々木清隆
Part23「空飛ぶビニ本」津山紘一
Part24「血の海」式貴士
Part25「江ノ電の東」二宮由紀子
Part26「宿命の日」高井信
Part27「心理試験」杉江秋典
Part28「地獄アルバイト情報」麻柴朋貴

 新人を中心に、あのころのショートショート作家が勢揃い。〈星新一ショートショート・コンテスト〉入選者も数多く寄稿されています。何とも言えず懐かしいメンバーです。ちゃんと調査していませんけれど、単行本未収録の作品も多そうです。
 私も寄稿していて、最初の作品は1980年2月5日号掲載のPart2「最後の大魔術」なんですが、私のデビューが「奇想天外」1979年12月号(10月下旬発売)ということを考えると、あまりにも早い登場です。
 これには裏話がありまして……。
 本来、Part2は式さんに執筆依頼があったんですね。ところが式さん、締め切りまでに脱稿できず、編集者に、デビューしたばかりの私に原稿依頼するよう話したそうで……。編集者も窮余の一策だったんでしょうね。私に執筆を依頼してみようと思ったようです。そんな事情ですから、執筆依頼の電話があったのは1月9日で、締め切りは1月12日!
 ムチャと言えばムチャな話なんですが、私としては、ただただ嬉しかったですね。確か翌日か翌々日には原稿を書き上げ、編集部に持っていきました。幸いなことに気に入っていただけたようで、無事に掲載。結局、「SFシンドローム」には拙作4編を掲載していただきましたが、この数は式さんと並んで「SFシンドローム」執筆作家のなかで最多本数です。
「小説春秋」の発行元は桃園書房でした。当時、桃園書房では「小説春秋」以外にも「小説CLUB」「月刊小説」という小説誌を発行していて、たちまち、その3誌から原稿依頼をいただけるという嬉しい状況になりました。その後、桃園書房とは長い付き合いとなり、ショートショートや短編、多い年には10編くらい掲載していただいたのではなかったでしょうか。
 もうほんと、これは式さんのお蔭ですね。今でも感謝しています。

 この一件だけではなくて、「原稿が落ちる。高井信に穴埋めさせよう」というケースは何度もありました。締め切りまで数日なんてことも、しょっちゅう。そんな依頼が3つまとめて飛び込んできたこともあり……さすがにそのときは死にそうになりました。
 ショートショートやSFのアイデア・ストーリーが全盛だったあのころ、先輩作家の方々は超多忙だったんですね。
コメント(0) 

『怪奇日蝕』

 日本じゅうが注目した皆既日食ですが、皆さん、ご覧になりましたか?
 あいにく私が住んでいる名古屋は曇天で、太陽を拝むことができませんでした。ずっと空を眺めていれば、雲の隙間から欠けている太陽を観測することも可能だったようですけれど、そんな根気はなく……。

 さて。
 皆既日食と聞いて、古くからのSFファンの多くは式貴士の短編「怪奇日蝕」を想起されたのではないでしょうか。私もその1人です。
 一昨日、宮崎惇さんのことを書きました。私は商売柄、たくさんの作家の方々と交流があります。先輩と後輩だったり同年代だったり、それぞれ付き合い方は違いますけれど、基本的には作家と作家の関係です。しかし宮崎さんとはそうではなく、作家と愛読者という関係でした。
 実は式貴士さんとも、そんな関係だったのです。
 SF専門誌「奇想天外」1977年9月号に掲載された短編「カンタン刑」を読んで、熱烈なファンになりました。ほんと、すごい衝撃を受けたのですよ。>「カンタン刑」
式貴士サイン.JPG 式さんと初めてお目にかかったのは、1979年6月10日、東京の三笠会館本店で行なわれた“式貴士氏「カンタン刑」出版記念の会”の会場でした。それまで式さんとはまるっきり接点はありませんでしたが、あっちこっちで「式貴士、大好き!」と言い回っていたお蔭で、会の案内状をいただいたのです(その案内状は、いまも大切に保存してあります)。
 緊張しましたねえ。嬉しかったですねえ。憧れの式さんとお話ができ、持参した処女短編集『カンタン刑』にサインもいただきました。それが右の写真で、「未来の“式貴士後援会々長”高井信様」なんて書かれています。私もその気満々だったのですが、タイミングが悪かったというか、数ヵ月後に私自身も「奇想天外」でデビューするということになり、ファンクラブ結成は幻のものとなってしまいました。式さんには申しわけなかったと思います。
 もちろん個人的なお付き合いは続き、しょっちゅう会っていましたし、新宿のゴールデン街へ連れていってもらったことも何度かあります。ほんと、お世話になりましたねえ。
 式さんも宮崎さんと同様、若くして亡くなられ、何とも言えない想いです。

続きを読む。


コメント(1) 

斎藤哲夫・作品リスト

「忘れ去られてしまいそうな作家」第3弾です。
宝石60年3月号.JPG 斎藤哲夫は昭和30年代、おもに探偵小説専門誌「宝石」を活躍の舞台とし、短編やショートショートを発表しました。
 私が初めて斎藤作品に触れたのは、石川喬司・伊藤典夫編『夢の中の女 ロマンSF傑作選』ベストブック社・ビッグバードノベルス(76)に収録されていた「卵」だったと思います。いやあ、ぶっ飛びましたよ、ほんと。
 もっと読みたい! と、斎藤哲夫の作品を読むためだけに、古本屋で「宝石」を漁っていたことを懐かしく思い出します。私が20歳くらいのころです。どれも面白かったですね。
 斎藤作品に夢中になっていたころに作った作品リストがありますので、(その後のデータも加えた上で)以下に掲載します。

◎卵――初出:「宝石」1958年7月号
 鮎川哲也編『宝石推理小説傑作選3』いんなあとりっぷ社(74)
 石川喬司・伊藤典夫編『夢の中の女 ロマンSF傑作選』ベストブック社・ビッグバードノベルス(76)/旺文社文庫(84)
◎嘔吐――初出:「宝石」1958年9月号
◎宇宙混血――初出:「宝石」1958年12月号
 横田順彌編『戦後初期日本SFベスト集成1』トクマノベルス(78)
◎流刑星にて――初出:「宇宙塵」1959年1月号(18号)
◎退潮――初出:「宝石」1959年6月号
◎探求反射――初出:「宝石」1959年8月号
「奇想天外」1976年11月号(8号)
◎空間の港――初出:「宝石」1959年11人の新鋭
◎宇宙生物誌――初出:「科学小説」1960年新春(2号)
夢の中の女.JPG 夢の中の女(文庫).JPG 戦後初期日本SFベスト集成1.JPG 科学小説2.JPG
◎女樹――初出:「宝石」1960年3月号
 日本推理作家協会編『ショート・ミステリー傑作選』講談社(78)/『57人の見知らぬ乗客 ミステリー傑作選・特別編4』講談社文庫(92)
 中島河太郎編『天球を翔ける 宝石傑作選集Ⅴ=ハードボイルド・SF編』角川文庫(79)
◎回帰――初出:「宝石」1960年5月号
◎銀色の卵――初出:「宝石」1961年2月号
◎ウルー――初出:「宝石」1963年7月号
◎都立精神刑務病院――初出:『都立精神刑務病院』私家版(発行日不記載)*出倫者名義
ショート・ミステリー傑作選.JPG 57人の見知らぬ乗客.JPG 天球を翔ける.JPG 都立精神刑務病院.JPG
 抜けがあるかもしれませんが、ほぼ完全リストと思います。
 全13編。ちょうど1冊分くらいの分量がありますが、残念なことに単行本化されていません。実はこれまで何度も、「斎藤哲夫の本、出しません?」と知り合いの編集者に持ちかけているのですけれど、いまだに実現せず……。
 このブログをお読みの出版関係の方々、ご一考いただければ幸いです。
コメント(3) 

『夢判断』

「忘れ去られてしまいそうな作家」第2弾です。
 もはやほとんど相互リンク状態(笑)ですが、あちらで久野四郎が話題になっています。
 いいですねえ。私も好きです。>久野四郎
 作品集はたった1冊――『夢判断』ハヤカワSFシリーズ(68)(=『砂上の影』ハヤカワ文庫JA(75))だけで、読んだのは遥か昔ですから、内容はほとんど覚えていないのですが、面白かったという印象は強く残っています。
『夢判断』には全17編収録。数が多いことでもおわかりでしょうが、ショートショートも多数収録されています。ショートショートの見地からも重要な作家なんですね。
 読み返してみたくなり、書庫から本を引っ張り出してきました。
夢判断.JPG 砂上の影.JPG

 え~、あちらの管理人さんとは旧知の仲で、プライベートでの付き合いもありますけれど、ブログに関して裏で何か示し合わせたりとか、そのようなことは一切ありません。
 年齢の近いSFファン同士、興味の対象や嗜好が似てしまうのは、当然なんでしょうね。
 今後ともよろしくお願いいたします。
コメント(0) 

宮崎惇・著作リスト

 ショートショートとはほとんど関係ないんですが、宮崎惇・著作リストを掲載します。
宇宙塵182号.JPG 7月7日の記事『光瀬龍 SF作家の曳航』にも書きましたように、私は若いころ、宮崎さんに可愛がってもらい、言葉では言い表せないくらいお世話になりました。宮崎さんが亡くなられたあと、奥様にもずっと可愛がってもらっています。
 ちょくちょく遊びに行く掲示板に書かれていたコメントで、「このままでは遠からず完全に忘れ去られてしまいそう」な作家のなかに宮崎さんの名前もあり、「こりゃ大変。忘れないでね」と、こんな記事を書くことにしました。
 もちろん私は宮崎さんの大ファンで愛読者ですけれど、残念ながら、その著作のすべてを所有しているわけではありません。「宇宙塵」182号(82)掲載の宮崎秋子・他「宮崎惇 創作年表」を参考にし、所有本およびネットでの調査結果を加えて著作リストを作りましたが、完全かどうかとなると、あまり自信はありません。(マンガ原作も多いですが、ここでは割愛)。
 なお、「宇宙塵」182号は「宮崎惇 追悼特集」でした。光瀬龍、加納一朗、内田勝、今日泊亜蘭が追悼文を寄稿。短編「チンクルチンクル」が再録されています。

リストを見る。


コメント(7) 

ショートショートのマンガ化(補遺)

 6月5日の記事「ショートショートのマンガ化」の補遺です。
 O・ヘンリー原作のマンガは2冊しか挙げませんでしたが、ほかにも2種類(4冊)出ていることがわかりました。前に挙げた本とともにまとめておきます。

◆O・ヘンリー原作
◎関口しゅん『赤い酋長の身代金』主婦の友社・TOMOコミックス名作ミステリー(78)
 構成・永島慎二。全5編収録。
◎村祭まこと『オー・ヘンリー短編集』旺文社名作まんがシリーズ(85)/ほるぷ出版・まんがトムソーヤ文庫 コミック世界名作シリーズ(96)
 未所有。現物未確認です。
◎はやさかあみい『まんがグリム童話 賢者の贈りもの~大人の世界名作劇場』ぶんか社(08)
 全9編収録のうち、O・ヘンリー原作は5編です。
◎齋藤孝監修『漫画で蘇る O・ヘンリー傑作選』PHP研究所(08)/PHP文庫(09)
 6人のマンガ家による全6編。
赤い酋長の身代金.JPG 賢者の贈りもの.JPG O・ヘンリー傑作選.JPG O・ヘンリー傑作選(文庫).JPG

オー・ヘンリー短編集.jpg【追記】2010年3月26日
 村祭まこと『オー・ヘンリー短編集』旺文社名作まんがシリーズ(85)を入手しました。
 全9編収録。解説は意外や意外、なべおさみです。

【追記2】2012年3月25日
 ほかにもO・ヘンリー原作のマンガ作品集が出ていると知りました。詳細はこの記事を。
コメント(0) 

「現代の千一夜」

 スクラップ・ブックを整理していたら、大昔、私が新聞に書いたエッセイが出てきました。
 タイトルは「現代の千一夜」。――「中日新聞」1983年(昭和58年)11月2日号の「回転いす」というコラム欄に書いたものです。
 こんなのを書いたこと、すっかり忘れていました。
 おそらく今後、陽の目を見ることはないでしょうから、ここに転載いたします。(読みやすいように、漢数字を算用数字に変換しました)

現代の千一夜.JPG

    現代の千一夜

 ショートショートと言えば、SF界の長老・星新一氏の代名詞である。その星氏のショートショートが、このほど1001編に達した。
宝石.JPG 星氏が商業誌にデビューされたのは昭和32年、探偵小説専門誌の『宝石』11月号である。作品は「セキストラ」だった。それから26年、ついにショートショート1001編を成し遂げたのである。
 ひと口に1001編と言っても、これは大変な数であって、毎日1編ずつ書いていっても3年近くかかる。星氏の場合、約10日に1編のペース。しかも、そのほかにも長編や短編やエッセーなども書いているのだから、もう大変としか形容のしようがない。
 実は、ぼくが生まれたのは昭和32年7月で、星氏のデビュー年と同じ。すなわち星氏は、ぼくの人生まるまるショートショートを書き続けていることになる。その結果が、1001編!!
 比較すること自体が間違っているかもしれないが、何を隠そう、このぼくもショートショートが仕事の多くを占める作家だ。ぼくの作品が初めて商業誌に載ったのは54年、SF専門誌『奇想天外』の12月号(10月下旬発売)だから、ちょうど4年経つのだが、作品の過半数がショートショートであるにもかかわらず、いまだ50編にも満たない。
 星氏はデビュー後、4年の間に170編も書かれたとのこと。ぼくの4倍近いハイ・ペースである。ぼくが現在のペースでショートショートを書き続けるとすると、1001編に達するのは約100年後。かの泉重千代さんすらしのぐ最高齢者になってしまう。
 むろんそんな年齢まで生き続けることは不可能だし、仮に生きていたとしても小説が書けるとは思えない。(うむ、やはり比較すること自体が間違っておったのだ)
 小説を書き始めるまでは、作品数に関して特別な関心はなかったが、実際にショートショートを書いてみると、いかに大変な作業であるかがよくわかる。400字詰めの原稿用紙に、10枚のショートショートを書くのも、30枚の短編を書くのも変わらぬ苦労を必要とするのだ。1001編なんて、もはや人間業ではない! 本気でそう思う。
SFアドベンチャー.JPG 1001編目の発表の仕方が、また面白い。現在、店に並ぶさまざまな小説誌10誌近くに一度に作品を発表して、どれが記念すべき1001編目か、わからなくする仕掛けなのだ。いかにも星氏らしい趣向と言えるだろう。しかし……。
 残念なことに、1001編達成を契機として当分休筆されるとのこと。ご苦労さまでした、と言うべきところかもしれないが、やはり愛読者としては寂しい気持ちの方が何倍も強い。十分に休息をとってエネルギーを充電し終えたら、ふたたび華々しく復活する日が来ることを切に願っている。
コメント(0) 

『ゾティーク幻妖怪異譚』

 来月、創元推理文庫からクラーク・アシュトン・スミスの『ゾティーク幻妖怪異譚』という本が出るそうで……。
 版元HPの紹介によりますと――
>超未来の大陸ゾティークを舞台に終末世界の頽廃を描きだした傑作群を、
>本邦初となる決定版で贈る。
>官能の美と絢爛たる夢想を綴った、ラヴクラフトの盟友による怪奇小説集。
 これは楽しみですねえ。
 C・A・スミスは怪奇短編を得意とした作家で、長さから言えばショートショートと言える作品も数多いです。それらがショートショートか、と言われると、首を傾げてしまいますけどね。(『ショートショートの世界』では75ページで、ちらと名前だけ挙げています)
 気になるのは、未訳作品がどれくらい収録されるのかということですが、そんなことは関係なく、書店で見かけたら、ためらわずにレジに持っていってしまうと思います。
 読む前どころか、発行される前から、お勧めしてしまいます。

 邦訳作品集は以下の5冊。
『魔術師の帝国』創土社(74)
『アトランティスの呪い』ポプラ社文庫(85)
『呪われし地(ロキ)』国書刊行会・アーカムハウス叢書(86)
『イルーニュの巨人』創元推理文庫(86)
『魔界王国』ソノラマ文庫海外シリーズ(86)
魔術師の帝国.JPG 呪われし地.JPG イルーニュの巨人.JPG 魔界王国.JPG
 1985年と86年に集中的に発行されてから、もう20年以上も新たな本は出ていなかったんですね。このなかで、容易に入手できるのは『イルーニュの巨人』だけでしょうか。
 私、『アトランティスの呪い』は所有しておりません。これを機会に、今後どこかで見かけたら買おうと思います。

 書影では判別不能ですが、『魔術師の帝国』の帯には、ラヴクラフトの言葉が引用されています。その部分だけアップにして、掲載しておきます。
魔術師の帝国・帯.JPG

ゾティーク幻妖怪異譚.jpg【追記】9月8日
 書き忘れていました。
『ゾティーク幻妖怪異譚』創元推理文庫(09)、8月29日(たぶん発売日の翌日)に購入しました。これは本当に嬉しい本ですね。――なんて喜んでいますけど、購入して10日経っても手つかず……(苦笑)。
コメント(0) 

『地球を弔ふ』

 かなり珍しい本を格安で買ってしまいました。詩集でして、もちろん詩はショートショートではありませんけれど、散文詩はショートショートの親戚みたいなもので、まるっきり無関係というわけでもありません。
 いやいや、そんな理屈はどうでもいいことです。ただ単純に嬉しいので、紹介してしまいます。
◎中山忠直『地球を弔ふ』嵐山荘(39)
 横田順彌の名著『日本SFこてん古典(全3巻)』早川書房(80~81)/集英社文庫(84~85)を読まれた方なら、ご存じでしょう。その第3回「おとぎ歌舞伎とSF詩」(第1巻所載)で紹介されたSF詩集です。
 表紙カバーが少し欠けていて、その点が不満と言えば不満なんですが、それを言ったらバチがあたります。何しろ105円なんですから。
 私、古本コレクターではないと思っていますが、こんな本を見かけてしまっては、買うしかありません。これはもう、性(さが)というものでしょうね。
 ちょっと調べてみると、この本には以下の版があるようです。
『地球を弔ふ』書物展望社(38)*限定200部。
『地球を弔ふ』嵐山荘(39)*普及版と特装版(限定500部)があり、特装本は著者署名入り。私が入手したのは普及版。
『地球を弔ふ』嵐山荘(41)* 増補改訂版。
『AN ELEGY ON EARTH』丸善(41)*英訳版。

 ついでに、SF短歌集も紹介しておきましょう。
◎松宮静雄『SF短歌 ウルの墓』短歌新聞社(80)

地球を弔ふ.JPG ウルの墓.JPG 日本SFこてん古典1.JPG 日本SFこてん古典1(文庫).JPG

【追記】
 私は古本コレクターではないと書きましたが、正確には、古書コレクターではないという意味です。古本屋も古本も大好き。――古本者であることは間違いありません。
 かつては古書コレクター(おもにSF関係)だった時代もあり、明治から戦前にかけてのSF本、いろいろと集めていました。30年くらい前のことです。
 久しぶりに『日本SFこてん古典』を手にして、第3巻所収の「第51回 『魔法医者』その他のことなど」に、そんなころの懐かしいエピソードが書かれていることを思い出しました。
 ほんと、横田順彌さんにはお世話になりました。
コメント(0) 

ショートショートと掌編小説

ショートショート
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
ショートショート(英:short short story)は短編小説よりも短い小説のこと。長さに規定はないが、およそ原稿用紙8-10枚くらいの作品を指す。さらに短いものは掌編小説と呼ばれる。ジャンルは、SF、ミステリー、ユーモア小説など様々。アイデアとオチに面白みを持たせる傾向がある。星新一やフレドリック・ブラウンが得意とした。

掌編小説
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
掌編小説(しょうへんしょうせつ、単に掌編とも)とは、非常に短い小説を指す。掌篇小説と表記されることもある。ショートショートとは、一般により短いという点で区別される。より長い作品の要約や抜粋ではなく、それ自体が単独の物語として完結する。ジャンルは多岐にわたる。
          *               *               *
 以上、ウィキペディアの記述です。
 ショートショートと掌編小説の線引きには、常日頃から頭を悩ませているのですが、まさかショートショートと掌編小説の違いが長さにあったとは、いやはや参りました。これが正しいのでしたら、両者の線引きは簡単、なんですけれども……。

続きを読む。


コメント(0) 

『光瀬龍 SF作家の曳航』

 大橋博之・責任編集『光瀬龍 SF作家の曳航』ラピュータ(09)を読んでいます。
光瀬龍.JPG 皆さんもそうでしょうが、私もお気に入り設定しているHPやブログがいくつもあって、その多くにはほぼ毎日訪れています。あっちこっちで得られる情報は、本当に重宝しています。この本はあっちで発刊の情報を得て「うわっ、そんな本が!」、こっちで発行されたと知って「うわっ、出たか!」となりました。
 購入したのは一昨日で、まだざっと眺めた程度ですが、いやいや、これは素晴らしい!
 光瀬龍はプライベートの露出が比較的少ない作家という印象がありましたが、とんでもない勘違いでした。こんなにいろいろと語られていたとは……。
 ショートショートと直接的な関係はありませんけれど、お勧めします!

 実は……。
 光瀬さんのことに思いを馳せると、それは宮崎惇さんとの思い出に直結してしまいます。
 私は宮崎さんの大ファンです。高校生のころにファンレターを書き、文通に近い関係ができました。大学に合格して上京してからは、宮崎さん(当時、長野に在住)が東京に来られたときには連絡をいただき、新宿の喫茶店でお話をするようになりました。
 何度か、「今日は光瀬さんを囲むファンの集いがあるんだ。これから行くんだけど、一緒に行かないか?」なんてこともありまして、言うまでもなく光瀬作品も愛読していましたから、否も応もありません。宮崎さんにくっついて、のこのこと会場まで向かったものです。
 会には、今日泊亜蘭さんが来られたこともありました。少し遅れて会場に到着された今日泊さんは開口一番、「絵図面がわかりにくくて、迷った」。――絵図面! この言葉は、いまだに忘れられません。(もちろん、地図のことです)
 竹宮恵子さんが来られたこともありました。うちには竹宮さんの色紙があって、たぶんそのときに描いていただいたものだと思います。1979年10月13日の日付があります。30年前ですか~。私が「奇想天外」でデビューしたのは同年10月末ですから、その直前だったのですね。このあたりの前後関係、すっかり忘れております。
 光瀬さん、今日泊さん、竹宮さん、そして宮崎さんにいただいた色紙をアップしておきましょう。どれも私にとって宝物です。(同じ日にいただいたものかどうかはわかりませんが、色紙のデザインから判断して、左の2枚、右の2枚はそれぞれ同じ日と思われます)
光瀬龍・色紙.JPG 今日泊亜蘭・色紙.JPG 竹宮恵子・色紙.JPG 宮崎惇・色紙.JPG
 それからしばらくして宮崎さんは体調を崩され、1981年に亡くなられました(享年48)。亡くなられる少し前、入院されていた病院(小諸)にお見舞いに行きましたが、その変わり果てたお姿を見て、号泣しました。私、24歳のときです。
『光瀬龍 SF作家の曳航』を読んでいると、そういったことまで甦り、不思議な感情に包まれてしまいます。今も、この文章を書いていて、涙腺が緩みました。
 本書には、光瀬龍ファンクラブ〈東キャナル市民の会〉の会報などに発表されたエッセイ類も数多く収録されています。私は〈東キャナル市民の会〉の会員ではありませんでしたが、金田真義さん(「奇想天外」誌で書評を担当していた三村遼)、三石ひろみさん(イラストレーター。拙作にイラストを描いていただいたこともあります)など、会員の方何人かと個人的な付き合いはありました。金田さんも宮崎さんと同じく、若くして亡くなられ……。そんな思い出も甦ってきますが、まあ、こんな読み方をするのは私くらいのものでしょうね。
 私の思い出なんて関係ない話でして、本書は光瀬ファン、SFファンへの最高のプレゼントと思います。重ねて、お勧めします!

 下の書影は――
『東キャナル年鑑1』東キャナル市民の会・トーキョー(77)
 光瀬龍の新作書き下ろし「西キャナル市二七〇三年」のほか、柴野拓美、川又千秋のエッセイなどを掲載。
『東キャナル年鑑VOL.2』東キャナル市民の会・トーキョー(79)
 復刻特集「初期光瀬龍の世界」として、「宇宙塵」掲載の8編、「SFマガジン」掲載の1編、「プレイコミック」掲載の1編、計10編を復刻掲載。ほかに、今日泊亜蘭、宮崎惇、光瀬龍の座談会「すべてゆききする光や風に ―日本SF揺籃期を語る―」も掲載。久しぶりに読み直してみましたが、これは超一級の資料と思います。
『東キャナル年鑑VOL.3』東キャナル市民の会(79)
 SF同人誌「宇宙塵」に連載された長編「派遣軍還る」を一挙掲載。宮崎惇、今日泊亜蘭のエッセイも。
「キャナリアン 第1号」東キャナル市総理府広報室(77)
 光瀬龍「ある日の日記から」ほか。
東キャナル年鑑1.JPG 東キャナル年鑑2.JPG 東キャナル年鑑3.JPG キャナリアン1.JPG
 私が所有している『東キャナル年鑑』はVOL.3までで、以降のことは知らなかったのですが、『光瀬龍 SF作家の曳航』を読んで、VOL.4も発行されていると知りました。1982年刊ですか。ほとんど記憶は忘却の彼方ですが、そのころには東京には住んでいなくて、〈東キャナル市民の会〉の方々とも疎遠になっていたのかもしれません。
 何しろ大昔のことで、思い違いや記憶の混乱があると思います(この記事全般に)。
 もし事実誤認がありましたら、ごめんなさい、であります。

【追記】
エルグ1.JPG この記事をアップしたあと、何となく懐かしくなって、古いファンジンのスクラップ・ブックを眺めていたら、SFファングループ〈SFマッドカンパニー〉の会報「エルグ」創刊号(79)に、光瀬さんを囲むファンの集いのレポートが掲載されていることに気がつきました。
 1979年4月8日。光瀬さんの51歳の誕生日を祝う集まりだったとのこと。ゲストのなかに宮崎さんの名前もあり、また今日泊さんが遅刻されたエピソードも紹介されていて(私の記憶とは少し違いますが)、もしかすると私が参加したうちの1回は、この日だったかもしれません。
> ゲストの方のお話の後、それぞれに自己紹介をした訳ですが、51歳、51歳と何度も
>言われ、苦笑なさっていました。けど、本当~に51歳なんですねェ。(アハ、ダメ押し)
 この部分を読んで、私も苦笑してしまいました。私は現在、51歳なんですよね(今月末には52歳)。20歳くらいの若者からは、そういう目で見られるわけですな(苦笑)。
 ちなみに、〈SFマッドカンパニー〉というのは〈東キャナル市民の会〉のメンバーが中心になって発足したグループだったような気がしますが、定かではありません。
コメント(3) 

津山紘一・著作リスト

 今日の午前中にアップした記事「通信制警察」で津山紘一のことを書き、何とも言えない懐かしさに包まれました。津山紘一、大好きだったのですよ。
 津山紘一の本、けっこう買ったよな~とネットで簡単に調査してみたところ、どうやら全著作を持っているようです。書庫をチェックすると、あっという間に全著作を揃えることができました。
 私の蔵書は、もちろん世間一般から見れば多いですが、いわゆるコレクターのなかでは少ないほうだと思います。取り得は、こうしてすぐに目当ての本が取り出せることです。まあ、蔵書が少ないからできることですが。
 津山紘一もショートショートの書き手として、重要な存在と思います。せっかく本を取り出しましたので、著作リストを掲載することにします。

『プルシャンブルーの奇妙な黄昏』徳間書店(79)
『プレイボーイスパイ城京助の華麗なる大冒険』集英社(79)*連作長編
『時のない国 その他の国』集英社(80)
『樅の木の物語』集英社文庫コバルトシリーズ(80)*長編
プルシャンブルーの奇妙な黄昏.JPG プレイボーイスパイ城京助の華麗なる大冒険.JPG 時のない国その他の国.JPG 樅の木の物語.JPG
『架空の街の物語』集英社文庫コバルトシリーズ(81)
『丘の家のノン』CBS・ソニー出版(81)*長編
『ハンブルク物語 Peep Show』徳間書店(82)
『人騒がせな死体たち』集英社(82)
架空の街の物語.JPG 丘の家のノン.JPG ハンブルク物語.JPG 人騒がせな死体たち.JPG
『屋根裏狂躁曲』集英社(83)*長編
『宇宙料理店 特選:おいしそSF短編集』集英社文庫コバルトシリーズ(83)
『ABC大辞典』徳間書店(84)
屋根裏狂躁曲.JPG 宇宙料理店.JPG ABC大辞典.JPG
 リストをご覧になって、1冊も再刊(文庫化)されていないことに気がつかれたでしょうか。これは残念ですねえ。
SF本の雑誌.JPG 文庫化と言えば、出たばかりの『SF本の雑誌』本の雑誌社・別冊本の雑誌15(09)に、日下三蔵「復刻が待たれる20世紀の名作たち 文庫にならなかったオススメ本(日本編)」というコラムが収録されています。挙げられている本の多くは、私も読んでいます。確かに名作揃いで、ほんと、なぜ文庫化されていないのか不思議です。
 残念ながら津山紘一の諸作品は挙げられておらず……。名作と認められなかったのか? あるいは、SFと認められなかったのか?
 となれば、これは私の仕事です。文庫化されていない名作ショートショート集をチョイスするのは、さほど大変ではないし、楽しい作業と思います。ご期待ください。

【追記】
 この記事の冒頭で、私の蔵書数はコレクターとしては少ないほうと書きましたが、それは『SF本の雑誌』に「一万二万は普通」(by 大森望)と書かれていた(74ページ)からです。
「牧眞司・日下三蔵・北原尚彦」――(比較的)若手SF系古本コレクターですか。なるほど~。ということは、牧眞司より2歳年上の私も、ぎりぎり若手なんでしょうか(笑)。
 ちなみに、牧眞司くんは大学の2年後輩、日下三蔵さんはかつての担当編集者、北原尚彦さんには現在いろいろお世話になっております。
コメント(3) 

「通信制警察」

 第31回小説推理新人賞の受賞作「通信制警察」を読みました(「小説推理」8月号掲載)。受賞者の耳目(みみ まなこ)は「小説現代」ショートショート・コンテストの常連入選者で、私が読もうと思ったのは、ただその一点の理由に尽きます。
小説推理8月号.JPG 実に変わった作品でして……。
 短編1編とショートショート3編から成っているんですが……。最初の短編「うー、うーうー……」は完全に独立しています。ショートショートのうち2編「通信制警察」と「在宅起訴」は連作です。で、最後のショートショート「誘拐犯」は独立しています。う~~~ん、これはいったいどういうことなのでしょう。この構成には首を傾げざるを得ません。
 いや、それぞれの話は面白いんですよ。短編「うー、うーうー……」は、とにかくシチュエーションがいいですね。こんな展開の小説は読んだことがなく、序盤から引き込まれます。もっとも、同じトーンが延々と続くので、中盤から飽きてきてしまいますけれど……。それを差し引いても、充分に楽しめました。
 ショートショート3編も、よくできています。よくできているとは思うんですが、なぜこの3編を付け加えたのか、さっぱりわかりません。応募規定は「80枚以内」であって、それより少なければ何枚でもいいわけです。にもかかわらず、なぜ? さらに言えば、ショートショートのタイトルが全体のタイトルになっているわけでして、この意図も不明です。
 う~~~~~~~~~~む、謎です。

 短編の新人賞をショートショートで受賞と言えば、1976年、第2回問題小説新人賞を「13」で受賞した津山紘一を思い出します。「13」はタイトルそのまま、13編のショートショートで構成された作品です。その後、津山紘一はショートショートや短編を数多く書き、ショートショート・ファンを楽しませてくれました。
 私としては、耳目にもショートショートを中心に書き続けてほしいと思いますが、当時と現在では出版界の事情が違いますから、難しいかもしれません。
 ともあれ、耳目の今後に注目します。
コメント(0) 

奥成達の怪談集

 先日の記事「ジョークのショートショート化」の補足です。
 ショートショート「占い」の元となったジョークの掲載されていた本ですが、『怪談のいたずら2』ではなくて、奥成達『怪談の仕掛人 ヒンヤリの恐怖を楽しむ』KKベストセラーズ・ワニの本(89)だったかもしれません。まあ、『怪談のいたずら2』は『怪談の仕掛人』の再刊本(少しだけ内容変更あり)ですから、どちらでもいいようなものですけれど……。
 ショートショート化したのは5~6年前でしょうか。どの本を読んだのか、よく覚えていないのです。すみません。

 書庫を眺めて、目についた奥成達の著作を取り出してみました。
◎奥成達『怪談のいたずら ゾーッとさせて楽しむ』KKベストセラーズ・ワニの本(77)/KKベストセラーズ・ワニ文庫(88)
◎奥成達『怪談の仕掛人 ヒンヤリの恐怖を楽しむ』KKベストセラーズ・ワニの本(89)/『怪談のいたずら2 ヒンヤリの恐怖を楽しむ本』KKベストセラーズ・ワニ文庫(90)
怪談のいたずら.JPG 怪談のいたずら(文庫).JPG 怪談の仕掛人.JPG 怪談のいたずら2.JPG
◎奥成達とその仲間『通勤電車で愉しむ! 退屈しのぎの笑える話』青春出版社・青春BEST文庫(94)
◎奥成達とフランケンシュタインズ『怪談50連発! 子どもの読めない童話』KKベストセラーズ・ワニ文庫(95)
退屈しのぎの笑える話.JPG 子どもの読めない童話.JPG
『退屈しのぎの笑える本』以外は怪談集なんですが、奥成達の作品にはユーモラスなものが多く、読者を怖がらせるというイメージは薄いです。で、オチがついていたりしますし、どれも短いですし……。おおっ、これはショートショートではありませんか。(誤解のないよう書き添えておきますと、「ジョークのショートショート化」で採り上げたのは付録的に挿入されていたジョークのひとつで、ほかの多くの作品は小説としての体をなしています)
『退屈しのぎの笑える本』では本領発揮で、ユーモア(というかギャグ)満載です。表紙には“乗り越し注意! 抱腹絶倒のショートショート劇場”とあり、1~3ページの作品が大量に(数える気にもならないほど)収録されています。
 要チェックですね。>奥成達

 書棚を見渡すと、同種の本がたくさん目につきます。古本屋で見かけると購入し、いつの間にか溜まってしまったものです。
 これらもショートショートであるか否か判断し、きっちりと分類しないといけないんでしょうね。けっこう大変な作業です。
コメント(0) 

「蝿」

 早川書房の〈異色作家短篇集〉と言えば、とにかく魅力的な叢書ですが、なぜか文庫化されないのが難点です。文庫化されたのは一点――ジョルジュ・ランジュラン『蝿』だけで、これはデヴィッド・クローネンバーグ監督の映画『ザ・フライ』の公開に合わせて、ハヤカワ文庫NVに収録されたものです。

『蝿』早川書房・異色作家短篇集16(65)/ハヤカワ文庫NV(86)/早川書房・異色作家短篇集5(06)*新装版
蝿.JPG 蝿(文庫).JPG 蝿(新装版).JPG

 さて、今回は小説ではなくて、映画の話です。ランジュランを知らない人は多くても、映画『ザ・フライ』を知らない人はほとんどいないでしょうね。
 私は映画『ザ・フライ』と続編『ザ・フライ2 二世誕生』のどちらも大好きです。一時期テレビでしょっちゅう放映されていて、あれには参りました。いったん観始めると止まらず、つい最後まで観てしまうんです。これまでに何回観たことやら……。
『ザ・フライ』2部作は「蝿」の2度目の映画化です。
 最初の映画化は、『蝿男の恐怖』1958年、『蝿男の逆襲』1959年、『蝿男の呪い』1965年――以上の3部作なんですが、実は私、完結編『蝿男の呪い』の存在を知らず、ずっと2部作と思い込んでいました。先日、『蝿男の呪い』なんてタイトルのDVDを見かけ、「はて?」と手に取りました。ジャケット裏の説明を読み、ようやく3部作であることを知ったのです。もちろん購入し、帰宅しました。
 思い返してみると、『蝿男の恐怖』は大昔、テレビで観たことがありますが、『蝿男の逆襲』は未鑑賞です。無性に3部作を通して観たくなり、ネットで注文。
 つい先ほど、『蝿男の恐怖』『蝿男の逆襲』が届きました。時間があるとき、3部作を続けて鑑賞しようと思っています。
蝿男の恐怖.JPG 蝿男の逆襲.JPG 蝿男の呪い.JPG
 本は読む前、映画は観る前でも構わずに記事を書いてしまうという、とんでもなく掟破りのブログで、申しわけありません。
宇宙塵23.JPG
 最後に、また小説に戻って、ちょっとマニアックな情報をお届けしておきます。
 短編「蝿」は、商業出版としては「SFマガジン」1961年3月号(14号)に掲載されたもの(宇野利泰訳)が本邦初訳のようですが、その2年前、SF同人誌「宇宙塵」1959年7月号(23号)に、すでに訳載されています。訳者は何と野田宏一郎(野田昌宏)!

 この号の「宇宙塵」は星新一編集による翻訳特集で、目次を紹介しますと――
       目次.JPG
「宇宙塵」というと創作の面ばかりが評価されがちですが、特に初期のころは、翻訳、そしてエッセイも充実していたんですね。
 エッセイに関しては、SFファングループ〈星海企業〉が積極的に復刻出版を行なっています。本ブログの趣旨からは完全に離れてしまいますが、紹介しておきましょう。
◎野田宏一郎(昌宏)『宇宙塵版 SFつれづれ草』星海企業(97)
◎野田宏一郎(昌宏)『宇宙塵版 SFつれづれ草 第二版』星海企業(株)記録出版室(98)
 イラスト一新の上、新たに「野田昌宏作品リスト」、野田昌宏による「あとがき」を収録しています。
◎矢野徹『宇宙塵版 SFアトランダム』星海企業(株)記録出版室(98)
SFつれづれ草.JPG SFつれづれ草 第二版.JPG SFアトランダム.JPG
 素晴らしいファン活動と思います。
「宇宙塵」については以前に記事に書きましたので、そちらもご参照ください。
コメント(1) 

かんべむさしのショートショート集

 かんべむさしのショートショート集リストを掲載します。SF第2世代の作家で、ショートショートの書き手としては横田順彌と並ぶ存在です。
 かんべむさしの登場は衝撃的でしたねえ。長編、短編、ショートショート、エッセイ……。むさぼるように読んでいたことを思い出します。

『水素製造法 かんべむさしミニミニSF展示室』徳間書店(78)/徳間文庫(81)
 特に表題作は必読。とにかく、すごいです。
『ひらめきの技術 20奇譚による発想教室』カッパ・ブックス(84)
 西谷史『発想を変える15分』を紹介した際にも採り上げました。
『巡回洗脳班 ザ・ショートショート』中公文庫(85)
水素製造法.JPG 水素製造法(文庫).JPG ひらめきの技術.jpg 巡回洗脳班.JPG
『環状0号線 むさしのミラクル・ワールド』新潮文庫(86)
『時空いちびり百景』毎日新聞社(89)*堀晃との共著。
『遊覧飛行』徳間書店(90)
 ちょっと長めのショートショート集です。
環状0号線.JPG 時空いちびり百景.JPG 遊覧飛行.JPG

 以下、余談ですが……。
宇宙の坊っちゃん.JPG 星新一作品の人気投票をすると必ず上位に選ばれる作品に「午後の恐竜」があります(ショートショートと扱われることが多いですが、長さから見て短編)。私も大好きな作品です。
 かんべむさしの短編「女子大生火事場論理」(『宇宙の坊っちゃん』徳間書店(78)/徳間文庫(86)に収録)は、かんべ版「午後の恐竜」とも言える作品で、深く印象に残っています。同じ題材を扱っても作家によってこんなに違うのか、と唸らされたんですね。
 ご存じない方は、読み比べてみてください。
コメント(2) 

横田順彌のショートショート集

 ほんと、連載する気は全くないのですが……。
 まずはショートショートとジョークについて書きます。横田順彌の連作ショートショート『宇宙船〔スロッピイ〕号の冒険』シリーズのことを思い出してしまいまして……。このシリーズの謳い文句は“大河ショート・ショート変格ソフト宇宙SF”。――わけわかんないですね(笑)。

『宇宙船[スロッピイ]号の冒険』徳間書店(89)/『さらば地球よ! 宇宙船[スロッピイ]号の冒険』徳間文庫(92)
『はるかなる旅路 宇宙船スロッピイ号の冒険』大陸ネオファンタジー文庫(92)
宇宙船〔スロッピイ号〕の冒険.JPG さらば地球よ!.JPG はるかなる旅路.JPG
 1冊目には38作、2冊目には30作収録。全200作の連作にする予定でスタートし、この68作以降も何作かは(『はるかなる旅路』の「あとがき」によれば少なくとも4作は)書かれたようですが、残念ながら単行本としては出版されていません。
 それはともかく……。このシリーズは作者の執筆姿勢が興味深いんですね。
『宇宙船[スロッピイ]号の冒険』の「あとがき」から引用します。
          *               *               *
(前略)そのアイディアに、古今東西のジョークやコントで、使えるものがあれば、それをアレンジして使用する。むろん、この作戦はアイディア不足を助けるものではある。しかし、それ以上に理由がある。それは、せっかく、おもしろいジョークやコントを、ただ、読み捨ててしまうのは惜しいから、なんらかの形で残してやれないだろうかということだ。
 民話やおとぎ話の世界には、採話というスタイルがある。各地に残る昔話などを作者がアレンジして、一篇の作品にするやりかただ。筆者と芥川龍之介をいっしょにするのはおこがましいが、芥川だって、日本の説話文学のアレンジをやって、傑作を書いている。
 ならば、ジョークやコントをアレンジして(実際にやってみると、使えるアイディアは、非常に少なかったが)、小説として残しても、褒められこそすれ、文句はいわれまい(まあ、いう人もいるだろうが)。そう思った。
          *               *               *
 私がジョークのショートショート化を試みたのは昨日アップした「占い」1編だけですが、横田順彌は20年も前に同じ試みをしていたんですね。これを忘れて記事を書いたのは失敗でした。
 と、昨日の記事への補足が終わったところで本題――横田順彌のショートショート集(および、ショートショートの見地から重要と思われる作品集)のリストを掲載します。
 横田順彌は、いわゆるSF第2世代の作家のなかで一番のショートショートの書き手でしょう。作品数はもちろんのこと、内容も抜群に面白いです。

リストを見る。


コメント(0) 

ジョークのショートショート化

 別に連載する気はないのですが……。
 昨日の記事で、フレドリック・ブラウンのショートショート「回答」と同内容のフランス・ジョークを紹介しました。この例に限らず、ショートショートとジョーク(小咄)との線引きは難しいですね。ショートショートに分類してもいいようなジョークはたくさんありますし、書き方によってはショートショートになるジョークも多いです。
 かつて私は、とある本で読んだジョークをショートショート化してみたことがあります。
 百聞は一見にしかず。――ここに掲載しますので、まずは読んでみてください。

続きを読む。


コメント(0) 

ジョークと小咄

 昨日の記事で、フランス小咄「とんでもない処」を採り上げました。
『ショートショートの世界』の元原稿には、ショートショートと近い作品形態である掌編小説、コント、ジョークと小咄、超短編に関する考察もありました。これらの作品群とショートショートはどう違うか、私なりの考えを述べたものです。
 単行本として出版するにあたっては、迷った末に全面カットしました。これは、紙幅の問題もありますが、ちょっと独善的すぎるかなという危惧もあったためです(特に超短編に関して)。
 昨日からの流れということで、今回は「ジョークと小咄」の部分だけ復活させておくことにします。

「ジョークと小咄」を読む。


コメント(0)