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石原藤夫のショートショート

 石原藤夫さんから『SF Diary 2009』をいただきました。1971年版、1974年版に続く3度目の出版。と言っても、今回は単独の出版物ではなく、石原さんが主宰されている〈ハードSF研究所〉の公報「Hard SF Laboratory」VOL.115(09)の別冊附録としての出版です。
SF Diary 2009.JPG 簡単に言ってしまえば、SF版「今日は何の日」で、SFのなかで起こった出来事を日付別にまとめたものです。前の版では確かSF作家の生没年なども記載されていたと記憶しますが、今回そういった情報は割愛されています。
 もちろん、数は少ないものの、ショートショートのなかで起こった出来事も採り上げられています。数が少ないのは、もともと日付が明記されたショートショートが少ないからでしょう。
 私自身の作品を思い返してみても、明確に日付を記したショートショートなんて、書いた覚えがありません。――などと思いつつ、ぱらぱらと冊子を眺めていましたら、ありゃりゃ。
>☆200X年12月10日
> おれはいそいそと(パソコン通信の)オフの集合
> 場所へと向かった。そこで運命の出会いが。
>                 「異端の愛」高井信
 こんな作品までチェックされているとは……。感動してしまいました。
 とにかく、眺めているだけでも楽しい冊子です。石原さん、ありがとうございました。

 さて。
 いい機会ですから、石原さんとショートショートのことも書いておきます。
 石原さんはショートショートを得意とする作家ではありませんが、それでも処女短編集『ハイウェイ惑星』ハヤカワSFシリーズ(67)に、なぜか1編だけ収録されていたショートショート「高い音低い音」をはじめ何編もの秀作を書かれています。(同タイトルの本はハヤカワ文庫JA(75)、徳間デュアル文庫(01)にもありますが、いずれにも「高い音低い音」は収録されていませんので、ご注意を。『画像文明』ハヤカワ文庫JA(76)に収録です)
ハイウェイ惑星.JPG ハイウェイ惑星(ハヤカワ文庫).JPG ハイウェイ惑星(徳間デュアル文庫).JPG 画像文明(ハヤカワ文庫).JPG
 石原さんのショートショートをまとめて読むには、『生きている海』ハヤカワSFシリーズ(70)/ハヤカワ文庫JA(77)が最適でしょう。全17編。3部構成で、「第二部 科学時代」には11編のショートショートが収録されています。なかでも「助かった三人」は石原さんの真骨頂と思います。
生きている海.JPG 生きている海(ハヤカワ文庫).JPG
『生きている海』収録のショートショートと言えば……。
 思い出したことがありますので、書いておきます。
『ショートショートの世界』で伏線の説明をしたとき、星新一の「親善キッス」を例に挙げました(166ページ~168ページ)。実は元原稿には、「親善キッス」から派生した話題も書いてあったのですが、あまりにも蛇足が過ぎると考え、単行本化にあたって削りました。
 蛇足であるのは間違いないとはいえ、自分自身ではけっこう気に入っている箇所です。
 ここで復活させておくことにします。

蛇足を読む。


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半村良のショートショート

 昨日は半村良の長編『軍靴の響き』の帯に関する記事を書くなんて、(本ブログとしては)反則的な更新をしてしまいました。
 長編型の代表みたいな半村良ですが、実は短編の名手でもあり、たとえば「夢の底から来た男」など、忘れえぬ名作として私の脳裡に刻み込まれています。
 もちろん、決して少なくはない数のショートショートも書いていて、これもまさに職人技です。ショートショート集と言えそうなのは『能登怪異譚』だけですが、ショートショートを数多く収録している短編集はあります。
 今日はそういった、半村良のショートショートがまとめて読める作品集を紹介します。

『幻視街』講談社(77)/講談社・ロマンブックス(79)/講談社文庫(79)/角川文庫(80)
 信じられないような間隔で何度も再刊されました。
幻視街.JPG 幻視街(ロマンブックス).jpg 幻視街(講談社文庫).jpg 幻視街(角川文庫).jpg
『能登怪異譚』集英社(87)/集英社文庫(93)
半村良コレクション 妖花』出版芸術社(92)
半村良コレクション 酒媼 さけおうな』出版芸術社(93)
〈半村良コレクション〉は全3巻で、もう1冊のタイトルは『亜矢子』。これにはショートショートは収録されていません。
能登怪異譚.JPG 能登怪異譚(文庫).JPG 妖花.JPG 酒媼.JPG
『赤い酒場』出版芸術社・ふしぎ文学館(93)
『半村良コレクション』ハヤカワ文庫JA(95)
 出版芸術社〈半村良コレクション〉の『亜矢子』『妖花』に短編「赤き酒場を訪れたまえ」を増補。
赤い酒場.JPG 半村良コレクション.JPG

【追記】7月3日
 ちょっと珍しい(と思う)本を持っていることを思い出しましたので、紹介します。
    深奥への回線.JPG
◎半村良『深奥への回線』SF図書館(77)
 ファン出版の豆本です。大きさをわかりやすくするため、隣に500円玉を置いてみました。
 収録されているのはショートショート「深奥への回線」1作のみです。〈ショート・ショート シリーズ1〉となっていますが、続刊されたのか知りません。
 なお、「深奥への回線」は『酒媼』に収録されています。
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『軍靴の響き』

 ショートショートの資料を求めて古本屋を回っていると、たまに嬉しい副産物に出会うことがあります。ショートショートとは全く関係なく、本ブログの趣旨からは外れてしまいますが、今日はそんな1冊を――
軍靴の響き.JPG
 半村良『軍靴の響き』実業之日本社(72)。
 この本を購入したのは昨日です。
 本自体はありふれていて、もちろん私も所有していますが、昨日購入したのは帯付です。この帯が実にレアなんですね。
 半村良のファン・サイト〈続 半村良のお客になる会〉には「黒紅会」というコーナーがあり、ここには半村良に関するレア情報が書かれています。『軍靴の響き』の帯に関しては――
          *               *               *
「軍靴の響き」(出版物№4、実業之日本社、1972.11初版、新書判)の帯(腰巻)について、諸説がありました。書店では、帯なしが多かったようで、確かに帯付きを見たとか、愛知県で帯付きが何冊でただけとか。以前、いまをときめく日下三蔵氏も、問い合わせてこられましたが、実在します。
 最近、古本屋さんでも見かけるようになりましたが、値段は少し高いようです。(魔翔麗)
          *               *               *
 これを読むだけでも、レア度がおわかりになると思います。
 帯の存在は何十年も前から知っていましたが、熱心な半村良コレクターですら持っていない人が多いようなものを私などがゲットできるわけもないと思い、入手は完全に諦めていました。
 それが昨日、ひょいっと目に飛び込んできたんですねえ。しかも、2冊105円のコーナーで!
 大袈裟な表現ではなく、心臓が高鳴りました。
 そんなわけで――
 たまらずブログに書いてしまった次第です。失礼しました。
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『ハイカラ神戸幻視行』

ハイカラ神戸幻視行.JPG 西秋生『ハイカラ神戸幻視行 コスモポリタンと美少女の都へ』神戸新聞総合出版センター(09)が発売されました。昨年、「神戸新聞」に連載されたエッセイを大幅改稿したものです。
 この連載のことはご本人から聞いていましたが、あいにく名古屋在住の私には「神戸新聞」を手にすることは難しく、読むことができませんでした。いつでしたか、「単行本の準備を進めている」と聞き、出版を心待ちにしていたのです。

 このブログを読まれている方の多くはご存じでしょうが、西秋生は非常にキャリアの長い作家です。
 眉村卓がパーソナリティを務めていたラジオ番組「チャチャ・ヤング」のショートショート・コーナーで活躍。その作品は眉村卓編『チャチャ・ヤング=ショート・ショート』講談社(72)に収録されています(別名義)。これがおそらく西さんの商業出版物への初登場と思います。37年前!
 筒井康隆の主宰していたSF同人誌〈ネオ・ヌル〉でも活躍。入選作の1編「マネキン」はSF専門誌「奇想天外」1977年8月号(17号)に転載されました。これが商業誌初登場となるでしょうか。また、筒井康隆編『ネオ・ヌルの時代(全3巻)』中公文庫(85)には、Part2に「マネキン」、Part3に「走る」が収録されています。
チャチャ・ヤングショート・ショート.JPG 奇想天外17号.JPG ネオ・ヌルの時代2.JPG ネオ・ヌルの時代3.JPG
〈星新一ショートショート・コンテスト〉でも、第2回コンテスト(1980年)において「いたい」が優秀作を受賞(最優秀作は江坂遊「花火」、早島悟「DOY(ドゥーイ)」)。「いたい」は星新一編『ショートショートの広場2』講談社(80)、同『ショートショートの広場』講談社文庫(85)に収録されています。
ショートショートの広場2.JPG ショートショートの広場(文庫).JPG 奇妙劇場2.JPG
 その後、SF専門誌「SFアドベンチャー」を中心に作品を矢継ぎ早に発表し始め、『奇妙劇場vol.2 ロング・バケーション』太田出版・OHTA NOVELS(91)といったアンソロジーに寄稿するなど、旺盛な創作活動を見せますが、いつしか長い沈黙にはいります。そのあたりの事情は知りませんが、おそらく本業が忙しかったのだろうと推測します。
 井上雅彦監修『ひとにぎりの異形』光文社文庫・異形コレクション(07)で復活するまで、目立った活動と言えば、ショートショート作家『ホシ計画』廣済堂文庫(99)にショートショート2編を寄稿したことくらいでしょうか。
 私は『ショートショートの世界』で〈星新一ショートショート・コンテスト〉に触れた際、“「SFアドベンチャー」などに短編を数多く発表していた西秋生も、コンテスト入選者の一人です。昨今は作品発表の機会に恵まれていませんが、復活を望みたい作家の一人です”と書きました(99ページ)。
 また、井上雅彦&光文社文庫編集部編『異形コレクション讀本』光文社文庫(07)に寄稿した「《異形コレクション》とショートショート」でも、“西秋生はSF専門誌「SFアドベンチャー」を中心に、数多くの怪異譚を発表した。残念ながらそれらの魅力的な作品群は単行本化されておらず、時の流れとともに忘れ去られようとしているが、その作風は、まさに《異形コレクション》にふさわしいと思える”と書きました(278ページ)。
 その〈異形コレクション〉には『ひとにぎりの異形』に続いて、2008年刊『未来妖怪』にも新作を発表しています。
 いよいよ西秋生が長い冬眠から目覚めようとしている! ――嬉しいですねえ、ほんと。
ホシ計画.JPG ひとにぎりの異形.JPG 未来妖怪.JPG
 おっと。西秋生の紹介が長くなってしまいました。
『ハイカラ神戸幻視行』は、そんな西秋生の処女出版です。あえて「残念ながら」と言ってしまいますが、小説ではなくエッセイです。しかし! 読みごたえは充分。
 神戸を巡る芸術家(作家、詩人、画家など)の足跡を西秋生ならではの視点で追う、実に興味深く刺激に満ちた読み物になっています。
 ショートショートの見地から見ても、ことに稲垣足穂(本書ではイナガキ・タルホ)の論考は非常に参考になります。『一千一秒物語』を“ショートショートとは異なって、ストーリーやオチはなく、むしろ詩に近い”(23ページ)と書かれていて、これには私も激しく同意します。また、渡辺温のエピソードも紹介されています(172~173ページ)。
 ほかにも、「第四章 妖しい漆黒の光芒(探偵作家たち)」では江戸川乱歩、横溝正史、戸田巽、酒井嘉七が採り上げられていて、探偵小説ファンの方々にもお勧めできます。
 私個人としては、神戸に15年ほど住んでいたこともあり、楽しさは倍増ですが、それを差し引いても好著と思います。
 強烈にお勧めします。ぜひ!
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『岡本忠成作品集Vol.1』

 DVD『岡本忠成作品集』ジェネオン・ユニバーサル・エンターテイメント(09)が発売されました(4枚組)。Vol.1にはアニメ作品9本、うたのシリーズ3本が収録され、アニメのうち4本は星新一原作です。
岡本忠成作品集Vol.1.JPG
「ふしぎなくすり」1965年/15分 原作:「盗んだ書類」
「ようこそ宇宙人」1966年/15分 原作:「夜の事件」
「キツツキ計画」1966年/15分 原作:「キツツキ計画」
「花ともぐら」1970年/15分 原作:「花とひみつ」

 どれも幻の作品と言ってよく、星ファン垂涎の1枚と言えるでしょう。よくぞ出してくれたと感激しています。
 さっそくゲットし、星新一原作の作品4本を鑑賞しました。
 全編を貫くのんびりムードは、さすがに時代を感じさせますが、それがプラスに作用していて、実に楽しい作品に仕上がっています。
「花ともぐら」のナレーションは岸田今日子が担当しているんですね。私は岸田今日子の(ショートショートの)ファンですから、これまた嬉しいことです。
 ほのぼのとした1時間を過ごすことができました。
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『眠れなくなる 夢十夜』

眠れなくなる夢十夜.jpg ショートショート集ではありませんけれど、新刊の紹介をします。「小説新潮」編集部編『眠れなくなる夢十夜』新潮文庫(09)です。
 夏目漱石の連作掌編「夢十夜」はまさに名作。ショートショートかどうかということになると微妙な感じもしないのではないのですが、傑作掌編であることは間違いないでしょう。
「夢十夜」に捧げるオマージュというかパロディというかパスティーシュというか、そんな作品は数多く書かれていて、本書もその1冊です。阿刀田高「夢一夜」など、計10編を収録。
『ショートショートの世界』では、以下のように書きました(150~151ページ)
          *               *
「夢十夜」は非常に有名な作品で、さまざまなアンソロジーに収録されていますし、パロディ作品もたくさん書かれています。都筑道夫「夢十夜」、星新一「夢20夜」、北杜夫「夢一夜」、吉行淳之介「夢三つ」、横田順彌「夢じゅんや」、井上雅彦「異形の夢十夜」……。H・P・ラヴクラフト「夢魔十夜」もありますが、これはあくまでも邦訳タイトルであり、「夢十夜」のパロディではないでしょう。
          *               *
 書誌情報がなく、不親切ですね。すみません。
 その他の作品(長編やエッセイは除く)も含めて、簡単な書誌とともに、ここでまとめておくことにしましょう。

◎星新一「夢20夜」:『つねならぬ話』新潮文庫(94)に収録。*単行本版には収録されていません。
◎都筑道夫「夢十夜」:『グロテスクな夜景』光文社文庫(90)に収録。
◎吉行淳之介「夢三つ」:『菓子祭』潮出版社(79)/角川文庫(81)に収録。
◎北杜夫「夢一夜」:『夢一夜・火星人記録』新潮社(89)/新潮文庫(92)に収録。
つねならぬ話.JPG グロテスクな夜景.JPG 菓子祭.JPG 夢一夜・火星人記録.JPG
◎横田順彌「夢じゅんや」:『悲しきカンガルー』新潮文庫(86)に収録。
◎井上雅彦「異形の夢十夜」:『1001秒の恐怖映画』ぶんか社(97)/創元推理文庫(05)に収録。
◎井上雅彦「花十夜」:『髏漫』ハルキ・ホラー文庫(04)に収録。
◎H・P・ラヴクラフト「夢魔十夜」:『別冊幻想文学⑩ ラヴクラフト・シンドローム』アトリエOCTA(94)に収録。
悲しきカンガルー.JPG 1001秒の恐怖映画.JPG 髏漫.JPG ラヴクラフト・シンドローム.JPG
◎芦原すなお『新・夢十夜』実業之日本社(99)/創元推理文庫(07)
◎やしろかづを『猫十夜』文遊社(87)
◎夏樹静子編『悪夢十夜 現代ホラー傑作選第4集』角川ホラー文庫(93)
新・夢十夜.JPG 猫十夜.JPG 悪夢十夜.JPG
 以上。
 きっちりと調査しているわけではなく、記憶を頼りに書棚を眺めて目についた作品だけ(すなわち私が所有している本だけ)ですから、ほかにもたくさん書かれていると思います。ご指摘いただければ幸いです。
 あと……。「夢一つ」(あるいは「夢ひとつ」)という作品を読んだような気がするのですが、誰の作品だったか思い出せません。可能性のありそうな本を何冊か取り出して、目次をチェックしたものの見当たらず……。ネット検索してみたら大畑靖という人の作品がヒットしましたけれど、知らない作家ですので、これではないことは確かです。もしかすると私の勘違いで、そんな作品はないのかもしれません。
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『はなとひみつ』

はなとひみつ(2009).JPG 星新一『はなとひみつ』フレーベル館・おはなしえほんシリーズ⑰(09)を買いました。和田誠とタッグを組んだ絵本で、収録されているのはショートショート「はなとひみつ」だけです。
 今年の4月に発売された本なのですが、数週間前までそのことを知らず、本日ようやく入手した次第。ネットでの情報も極めて少なく、ご存じない星新一ファンも多いのではないかと思い、ここで紹介することにしました。
 この『はなとひみつ』は非常に厄介な存在でして……。
『気まぐれスターダスト』出版芸術社・ふしぎ文学館(00)の巻末に掲載されている「星新一完全著作リスト(日下三蔵)」には――

72 はなとひみつ
  78年3月1日 フレーベル館(キンダーおはなしえほん第12集―3)B5判
  79年10月 日 フレーベル館(キンダーおはなしえほん傑作選46)B5判
  88年3月 日 フレーベル館(キンダー名作選)B5判
  01年1月 日 フレーベル館(おはなしえほんべストセレクション)B5判
  *78年版は、第11集と誤記
   79年版は、奥付に発行日の記載なし
   01年版は、予定

 と書かれていますが、不明な点が多いので、1冊ずつ検討していきます。

◎78年3月1日 フレーベル館(キンダーおはなしえほん第12集―3)B5判
はなとひみつ(1978).JPG *78年版は、第11集と誤記   
 B5判となっていますが、実際にはB5判よりも横幅の広い変型判です(ほかの本も同様)。誤記だか知りませんが、確かに所有本は「第11集」となっています。ソフトカバー。
 また、「この本は一般書店では売っておりませんのでお申し込みは直接園へ」と書かれています。いわゆる幼稚園納入本で、通常の方法では買うのが困難なわけですが、私は発売当時、友人がどこからか大量に仕入れてきたうちの1冊を買わせてもらいました。
はなとひみつ・付録.JPG なお、この本には工作付録として、「ひなにんぎょう」が付いています。厚紙1枚で、切り抜いて組み立てるだけの簡単なもの。いかにも幼稚園児向けの本ですね。



◎79年10月 日 フレーベル館(キンダーおはなしえほん傑作選46)B5判
 この本は現物を見たことがなく、私にとって謎の存在です。一般販売されたのか? ソフトカバーなのかハードカバーなのか? おそらく一般販売され、ハードカバーと推測しているのですが、定かではありません。ご存じの方、ぜひ情報提供をお願いします。

◎88年3月 日 フレーベル館(キンダー名作選)B5判
はなとひみつ(1989).JPG 私が所有している〈キンダー名作選〉は「1989年3月1日発行 キンダー名作選 第1集3」です。
 88年版というものが果たして本当に存在するのか、と疑問を持っています。〈キンダー名作選〉版をお持ちの方がいらっしゃいましたら、奥付のチェックをお願いします。
 これまた「この本は一般書店では売っておりませんのでお申し込みは直接園へ」と記載。ソフトカバー。
 この本は古本で買ったため、付録の有無は不明です。

◎01年1月 日 フレーベル館(おはなしえほんべストセレクション)B5判
はなとひみつ(2001).JPG『気まぐれスターダスト』刊行時には未発売でした。発行された本のデータは、「2001年1月1日発行 おはなしえほんベストセレクション 第4集第10編」です。「この本は一般書店では売っておりませんので、お申し込みは園、または上記の電話番号へお願いいたします」と記載。ソフトカバー。
 この本も古本購入のため、付録の有無は不明です。


 という複雑な――というか、私にとって謎の多い刊行経過があって、今回の 〈おはなしえほんシリーズ〉となるわけです。以前から所有している3冊はいずれもソフトカバーですが、今回はハードカバー。やはり絵本はハードカバーが似合いますね。中身は全く同じとはいえ、嬉しいです。
花とひみつ.JPG
 さて。
 和田誠とのタッグによる絵本と言えば、私家版『花とひみつ』があります。1965年9月刊、限定400部の激レア本です。
 現在、私の手元に現物がありますが、残念ながら、これは友人からの借り物。一生の探求書になりそうです。
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『12の怖い昔話』

12の怖い昔話.JPG 先月発売されたスーザン・プライス『12の怖い昔話』長崎出版(09)を読みました。150ページ足らずに12編収録ということで、各編はかなり短く、半分くらいの作品は原稿用紙10枚前後です。長さだけを考えたらショートショート集ですね。
 タイトルは「昔話」となっていますが、実際には昔話ではなく、昔話の形式で語られた小説ということのようです。「怖い」もタイトルに偽りありで、幽霊や化け物はたくさん出てきますけれど、どれも怖くはありません。どちらかと言えば、ほのぼのムードの作品が多いです。
 主人公メアリーの性格が楽しい「怖いもの知らずのメアリー」、皮肉なオチの「兵士と死神」、悪魔との契約ものの変型「影」、オチが愉快な「墓場に燃える火」、いかにも昔話な「老いも死もない国」など、楽しく読むことができました。
 ショートショートかと問われれば、ちょっと違うと答えざるを得ませんが……。
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『ナゴム、ホラーライフ』

 商売柄、新刊を贈呈していただくことがあります。こういうブログですから、ショートショートと全く関係のない本については採り上げませんが、ショートショートと少しでも関連があれば、積極的に紹介していこうと考えています。
 ということで、綾辻行人・牧野修『ナゴム、ホラーライフ 怖い映画のススメ』メディアファクトリー(09)です。綾辻氏とは面識がありませんので、牧野さんに献本していただいたものと思います。ありがとうございました。

ナゴム、ホラーライフ.JPG この本は、著者のおふたりが交替で書かれたホラー映画エッセイ集です。通常ならここで採り上げないのですけれど、なんと書き下ろしのショートショート2編も収録。これ幸いと、紹介させていただきます。
 え~、ショートショートを含むエッセイ集です。ホラー映画ファンだけではなく、ショートショート・ファンの方もぜひ手に取ってみてください。
 と、ショートショートのブログとしての責務を果たした(←ほんとか?)ところで……。
 私は買った本でも贈呈いただいた本でも、すぐに通読することは滅多にないのですが、この本に限っては、本が届いた日に(つまり今日ですが)最後まで読んでしまいました。ちょっと読み始めたら、止まらなくなってしまったんですね。
 私、ホラー映画が大好きなんですよ。挙げられている映画では、ホラー映画に限らず邦画はあまり観ないので、知らない映画がたくさんありましたが、洋画に関しては確実に半分以上は観ていますねえ。もしかすると、7~8割観ているかも……。
 そういう人間からすれば、挙げられているタイトルを眺めているだけでも楽しいですし、それにおふたりの感想も書かれているわけですから、まさに“かっぱえびせん”状態(←古いなあ)なのでした。
>『女子高生チェーンソー』の驚愕のオチについて語りたいような気もする
 なんて書かれている(239ページ)と、「おお、あれはのけぞったなあ。いくら何でも反則だろう」と呆れたことを思い出したりとか、
>『スリザー』だ。/いやあ、これは素晴らしい。
 なんて書かれている(274ページ)のを読んで、大きく頷いてしまったりとか……。
 もちろん、首肯しているばかりではなく、たとえば楳図かずお原作の映画について、
>とりあえずここまでのベスト作品は『猫目小僧』なのではないでしょうか。
 なんて書かれている(164ページ)と、「ウッソー」と叫んでしまったりもしました。私も楳図かずおの大ファンですから、映画の多くは観ているんですが、正直、『猫目小僧』はサイテーの出来と思っています。もちろん、人それぞれの好みの問題でしょうから、だからどうだということはないんですが。
 また、『スクワーム』のことを書く(176ページ)なら『スラッグス』にも触れてほしかったなあと思ったり、ゴキブリ映画について書かれている(177ページ)のを読むと、『アベレーション2』『ブラッダ』『ブラック・ビートル』を思い出したり……。
スラッグス.JPG アベレーション2.JPG ブラッダ.JPG ブラック・ビートル.JPG
 約2時間、ホラー映画どっぷりの濃い時間を過ごさせていただきました。
「ホラー映画でなごむ」――私も全く同感であります。
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「やさいのなまえ」

 ちょっぴりのご無沙汰です。
 ここのところ忙しかったこともあるんですが、それより、特に書いておきたいことは書き終えてしまったということのほうが大きいですね。書誌リストに関しては、まだまだ掲載しておきたい作家は多いですけれど、そんなものばかりアップしてもつまらないでしょうし、そのときどきの記事に応じて……。
 無理をして記事を更新しても仕方がないので、ゆったりとしたペースで続けていこうと思っています。

 さて。
 ショートショートとはあまり関係ないのですが……。
 ネットサーフィンしていて、藤井青銅のブログ「やさいのなまえ」が目につきました。――変な名前をつけられている野菜を紹介するという趣旨のブログです。
 とんでもない名前がずらずらずらずら。命名者たち、どんなセンスをしているんでしょう。もう呆れるしかありません。
 個々の例については、ぜひ「やさいのなまえ」をお読みください。ほんと、面白いですよ~。

東洋一の本.JPG 藤井青銅は〈星新一ショートショート・コンテスト〉第1回の入選者です。「やさいのなまえ」に限らず、目のつけどころが実にユニークで、変な本をいろいろと出しています。
 ノンフィクションの著作を調べてみたところ――
『み~んながやってる宇宙の法則』徳間書店(91)
『宇宙の法則2 3Dステレオコラム集』徳間書店(93)
『超日本史』扶桑社(95)
『「超」日本史』扶桑社文庫(96)*上の文庫化と思いますが、現物未確認。
略語天国.JPG『TV・マスコミ「ことば」の真相』メディアファクトリー(01)
『団地になった男』朝日文庫(02)
『東洋一の本』小学館(05)
『略語天国』小学館(06)
『ラジオな日々-80's RADIO DAYS-』小学館(07)
『歴史Web』日本文芸社(08)
『あんまりな名前』扶桑社(08)

ラジオな日々.JPG 私が所有している(=読んだ)のは『東洋一の本』『略語天国』『ラジオな日々』の3冊だけですが、どれも面白かったです。『ラジオな日々』は自らの体験を小説化したもので、〈星新一ショートショート・コンテスト〉のことにも触れられています。
 リストを作成しているうちに無性に『あんまりな名前』が読みたくなり、思わずネットで注文してしまいました。届くのが楽しみです。


 藤井青銅のショートショート集については以前の記事で紹介しました。もう完全に本ブログの趣旨から外れますが、ついでに全小説リストも掲載しておきましょう。

『死人にシナチク』徳間書店・アニメージュ文庫(87)
『修学旅行狂躁曲 死人にシナチク2』徳間書店・アニメージュ文庫(88)
『楊大人の野望 死人にシナチク3』徳間書店・アニメージュ文庫(90)
死人にシナチク.JPG 修学旅行狂躁曲.JPG 楊大人の野望.JPG
『愛と青春のサンバイマン』トクマ・ノベルズ・ミオ(87)
『愛と青春のサンバイマン』徳間文庫パステルシリーズ(89)*上の文庫化。
『プリズム・ショット』徳間書店・アニメージュ文庫(88)*ショートショート集。
『超能力はワインの香り』富士見ファンタジア文庫(88)
愛と青春のサンバイマン.JPG 愛と青春のサンバイマン(文庫).JPG プリズム・ショット.JPG 超能力はワインの香り.JPG
『アロワナ・ガール』徳間書店・アニメージュ文庫(92)
『クール・ボイスでささやいて』徳間書店・アニメージュ文庫(92)
『笑う20世紀』実業之日本社・ジョイ・ノベルス(94)*ショートショート集。
『誰もいそがない町』ポプラ社(05)*ショートショート集。
アロワナ・ガール.JPG クール・ボイスでささやいて.JPG 笑う20世紀.JPG 誰もいそがない町.JPG
 特に『愛と青春のサンバイマン』は面白かったですね。読んでいて、引っくり返りそうになったことを思い出します。
あんまりな名前.JPG
【追記】6月19日
 ネット注文した『あんまりな名前』扶桑社(08)が届きました。
 ぱらぱらと眺めただけですが、とっても愉快な感じです。ブログ「やさいのなまえ」で採り上げられているキュウリ「さつきみどり」、この本ですでに採り上げられていたんですね。
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「せる」終刊号

 拙著『ショートショートの世界』では、ショートショートと短編の同人誌「せる」のことも紹介しました(117ページ)。
          *              *               *
 斎藤肇を紹介した際にもちらと触れましたが、〈星新一ショートショート・コンテスト〉の入選者たちを中心に結成された創作グループ〈AんI〉の会誌です。
 一九八六年に創刊され、最新号は一九九五年に発行された二十号です。休刊あるいは終刊したという話は聞いていませんが、二十一号が出る可能性は限りなく低そうです。
 もともと、コンテストの入選者――つまり、才能のある人たちばかりで作られた同人誌ですから、そのレベルの高さたるや半端ではありません。井上雅彦、矢崎麗夜(矢崎存美)、斎藤肇、太田忠司など、現在、プロの作家として活躍している人、多数です。
          *              *               *
ショートショートランドセル.jpg「せる」という誌名について、少し補足しておきます。
「せる」の前身は「SHORTSHORTランドセル」――もちろん、講談社刊のショートショート専門誌「ショートショートランド」を意識した誌名ですが、本家(?)「ショートショートランド」が終刊となり、「SHORTSHORTランドセル」は1986年3月発行の第23号をもって廃刊。「せる」として再スタートしたわけです。(言わずもがなと思いますが、「SHORTSHORTランドセル」-「ショートショートランド」=「せる」。編集は両誌とも斎藤肇が担当しています)
 3月26日の記事で斎藤肇さんのショートショート集『本意補遺』を紹介した際、“「せる」に関しては、ちょっとした動きがあるようですから、その動きが形になったときに改めて書こうと考えています”と書きました。
せる21.JPG 実はあのころ、15年近い沈黙を経て、終刊号(第21号)を発刊しようという計画が持ち上がっていたんですね。その話を聞いたとき、思わず「ウッソー」と叫びそうになりました。“二十一号が出る可能性は限りなく低そうです”なんて書いてしまい、大失敗です。
 で、つい先日、その終刊号が発行されましたので、ここで紹介いたします。
 目次にずらりと並ぶ執筆陣は、プロ、プロ、プロ……。『ショートショートの世界』で名前を挙げた井上雅彦、矢崎存美、斎藤肇、太田忠司はもちろんのこと、田中哲弥、奥田哲也、それに会員ではありませんが江坂遊も寄稿しています。私も祝辞(!)を書かせていただきました。
 全く「せる」とは無縁に過ごしてきた私ではありますが、最後に少しだけ、ほんの少しだけでも関わることができて、とても嬉しく思います。

せれ.jpg 余談になりますが……。
 かつて〈AんI〉では地方での活動も盛んだったようで、たとえば関西在住の田中哲弥、輝鷹あちの2人が「せれ(CELE)」というショートショート同人誌を発行しています。どう考えても「せる」を意識した誌名ですね。
「せる」創刊号の発行は1986年7月ですが、「せれ」創刊号の発行は、それからわずか1ヵ月後の同年8月です。「せる」第2号の発行は同年10月ですから、それより先に出たわけで、この素早い行動力には感服するしかありません。
 もっとも、「せれ」は創刊号のみの発行で終わってしまいましたけれど……。

「せる」全表紙を見る。


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『お父さんのラッパばなし』

お父さんのラッパばなし(文庫).JPG 瀬田貞二『お父さんのラッパばなし』福音館文庫(09)が出ました。『指輪物語』や『ナルニア国ものがたり』の翻訳で有名な瀬田貞二の小説です。翻訳者としての仕事はよく知っていましたが、創作もされていることは、つい最近まで知りませんでした。
 去年でしたか一昨年でしたか、この本の元版――1977年に福音館書店から出たハードカバー(右下の写真)をブックオフで見かけ、タイトルに惹かれて手に取りました。ちょっと立ち読みしたところ、面白かったんですね、これが。全14話の連作集で、各編の長さはショートショートと言えそう……。もちろん購入です。
お父さんのラッパばなし.JPG「ラッパばなし」とは、いわゆる「ほら話」のことです。ほら吹き父ちゃんが子どもたちに、これでもかこれでもかと、ほらを吹きまくります。ショートショートというよりも落語のノリに近いでしょうか。
 児童書ではありますけれど、大人が読んでも楽しめると思いますので、ここで紹介することにしました。
 機会がありましたら、手に取ってみてください。
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内海隆一郎の掌編小説集

 昨日の記事「ショートショートのマンガ化」で谷口ジロー『欅の木』を挙げました。内海隆一郎の『人びとの~』シリーズをマンガ化した作品集です。
 内海隆一郎の場合、ショートショートというよりも掌編小説でしょうが、何しろ作品数が多いだけに、なかにはショートショートと言える作品もあります。
 ご参考のために、内海隆一郎の掌編小説集リストを掲載します。『人びとの~』シリーズ以外にも多数です。

リストを見る。


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渡辺浩弐のショートショート集

 昨日、マンガ化されたショートショートのことを書きましたが、重要なマンガを見逃していたことに気がつきました。――渡辺浩弐原作のマンガです。
 お詫びの意味も込めて、渡辺浩弐のショートショート集とともに、そのマンガ化作品集のリストをお届けします。

リストを見る。


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ご意見はこちらに [掲示板]

 ブログ開設から3ヶ月あまりが経ちました。多くの方々に読んでいただいているようで、嬉しく思っています。
 ふと思いついて、需要があるかわかりませんが、こんな場所を設けてみました。
 左カラムの「掲示板」をクリックすると、この記事に飛ぶことができます。ご意見、ご感想、ご要望、ご質問など、ご自由にコメントをお寄せください。
 ショートショートに関する情報、大歓迎です。
 よろしくお願いいたします。

【追記】2010年5月1日
 ほとんど需要がないことがわかりましたので、左カラムからのリンクを外しました。
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ショートショートのマンガ化

 私のショートショート研究&収集の対象は、(基本的に)国内で発行された活字本ですが、それだけではなくて、ショートショートを原作とするマンガも、見かけると買うようにしています。まあ、参考書的な位置づけです。
 マンガ家の短編集に1編とか2編とか、ショートショートを原作とするマンガが収録されている場合もあり、そういう本も見かけると買っていますが、どの本に何が収録されているのか、さっぱり覚えていません。ちゃんと記録しないといけませんね。反省しています。
 きっちりとした調査もリスト化もしていないので、抜けているものが多数あると思いますが、とりあえずの暫定版リストということで、ショートショートを原作とするマンガが多数収録されている本をまとめておくことにしました。


リストを見る。


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映画『おろち』

 映画『おろち』を観ました。楳図かずおの恐怖マンガの映画化作品です。
 楳図かずおの恐怖マンガ、大好きです! 初めて読んだのは小学生のころだったと思いますが、恐くて恐くて……。なんというマンガを描くんだ!? と思いましたね、ほんと。
おろち.JPG『おろち』の第1話「姉妹」は、数ある傑作短編のなかでもベスト3にはいるくらい好きです。最初に読んだとき――それがいつだったかは忘れましたが、結末のどんでん返しには、大袈裟な表現ではなく戦慄を覚えました。現在でしたら想定の範囲内のオチでしょうが、まだそんな読み方はできないころでした。
 大人になってからも、何度も読み直しています。もちろん結末は知っていますから、初読時のような衝撃はありませんが、伏線の張り方も見事で、改めて傑作との思いを強くしました。長さから見てショートショートとは言えませんけれど、この絶妙な伏線とオチのバランスは、まさにショートショートの魅力と通じるものがありますね。
 映画『おろち』は、この「姉妹」をベースに、やはりマンガ『おろち』の1編「血」の設定を加えて再構成されたものです。いやが上にも期待が膨らみます。何回かレンタルショップに足を運んだものの、いつもレンタル中で、ようやく借りることができました。
 ということで、感想です。
おろち(小説).JPG 映画としては、非常に楽しめました。確かに楽しめましたが……。
 どう考えても無意味と思える――そのシーンを映像化したいだけと思える展開もありますが、まあそこは狂気に苛まれた人間の行動ということで、ありとしましょう。しかし、アンフェアなキャスティング(母と美人姉妹の姉が一人二役)は、やってはいけないことと思います。それゆえにラストは原作以上の意外性があり、その効果を狙ったものかもしれませんが……。原作を知らない人であれば、「うわっ」となるでしょうけれど、原作の大ファンとしては容認できません。
 残念です。

 書影は――
 楳図かずお『おろち』小学館・My First BIG SPECIAL(08)――原作の「姉妹」「血」のみを収録した本。
 嶽本野ばら『おろち』小学館(08)――映画のノベライズ。
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